2011 Fiscal Year Annual Research Report
多次元ニュートリノ輻射流体計算コードによる超新星爆発メカニズムの研究
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22540296
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
住吉 光介 沼津工業高等専門学校, 教養科, 教授 (30280720)
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Keywords | ニュートリノ / 輻射輸送 / 超新星 / ボルツマン方程式 / 流体力学 / 核データ / 計算科学 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
大質量星(太陽質量の10倍以上)の進化の最期におこる重力崩壊は、中心コアのバウンスを経て華々しい超新星爆発を起こすと考えられている。爆発か否かを結論づける上での最大の課題はニュートリノ輻射輸送にある。超新星の中心コアではニュートリノが本質的な役割を果たしているが、これまでの研究では、ニュートリノ輻射輸送の計算が球対称あるいは近似のもとでのみ行われてきており、爆発メカニズムを明確に捉えることができなかった。この現状を打破して、ニュートリノ輻射輸送計算を空間3次元で実行可能にすることで、爆発ダイナミクスにおける多次元ニュートリノ輻射輸送の役割を明確にして、超新星爆発の謎にせまる。 平成23年度は、多次元ニュートリノ輻射輸送の評価を行なった。前年度までに整備した定式化・計算コードを超新星コアに応用して、静的な物質分布のもとで3次元ニュートリノ輻射輸送を計算する方法を確立した。解析解や球対称における一般相対論的ニュートリノ輻射流体計算コードによる数値計算結果との比較をもとに3次元計算コードの検証・較正を行なった上で、2次元・3次元形状に歪んだ超新星コアのモデルにおいてニュートリノ輻射輸送の振舞いを明らかにした。特に、球対称計算コードでは現れない動径方向以外の流束を記述可能であることを示した。さらに、多次元流体計算による物質分布をもとに3次元ニュートリノ輻射輸送によりニュートリノ加熱率・レプトン数変化率を評価できるように計算コードを発展させて、爆発へ向けた加熱率の議論を行なえるようになった。また計算コードの大規模化へ向けて、並列化の取り組みを開始して、必要なグリッド数や並列規模などの評価を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニュートリノ反応を取り込んだ準静的ニュートリノ輻射輸送計算コードを完成させて、多次元ニュートリノ輻射輸送の振舞いについての研究へと進展できた。球対称計算や解析解との比較による計算コード較正を完了させて、チェックの段階を終了して、実際の超新星コアへの適用を開始することができた。2次元・3次元の流体計算によるプロファイルを用いた輻射輸送計算を行い、多次元輻射輸送の特徴を解明する段階へ入った。また、ニュートリノ加熱量・レプトン数変化率などの計算を行なう整備も完了し、爆発への影響を議論できるようになった。さらに、並列化を睨んだ計算規模の評価を行なうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、3次元ニュートリノ輻射輸送計算コードの応用を推進することが課題である。ニュートリノ輻射が超新星爆発へ与える影響について定量的な議論を行なって成果を出していくことが重要である。この点は、近似ニュートリノ輻射流体計算を行なっている研究者と連携することで具体的な研究が始まっている。次年度以降の重要な課題は、多次元流体計算コードとの組み合せにより、3次元ニュートリノ輻射流体計算コードを完成させることである。この研究については、開発テストに時間がかかることが予想されるが、新たに若手研究者を共同研究グループに加えて様々なテスト計算を平行して行なうことをできるようにした。計算コードやシミュレーションの大規模並列化における計算資源の確保やMPI並列化・並列アルゴリズムなどの開発を共同研究として行なえるように体制を整えている。
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Research Products
(16 results)