2011 Fiscal Year Annual Research Report
非球対称重力崩壊型超新星爆発における爆発的元素合成および爆発機構の解明
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22540297
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
藤本 信一郎 熊本高等専門学校, 制御情報システム工学科, 准教授 (10342586)
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Keywords | 宇宙物理 / 理論天文学 / 元素合成 / 超新星爆発 |
Research Abstract |
理論・観測の両面から重力崩壊型超新星爆発における非球対称性の重要性が明らかにされている。しかしながら超新星爆発における爆発的元素合成研究の多くは球対称が仮定され、様々な不定性を内在する。本研究では、世界に先駆けて、電子陽電子捕獲反応・ニュートリノ吸収反応による電子比進化を考慮した現実的な2,3次元非球対称超新星爆発シミュレーションに基づいて、重力崩壊型超新星における非球対称爆発的元素合成を調査する 本年度は、昨年度に行った15倍太陽質量の大質量星の2次元非球対称超新星爆発シミュレーションに基づく放出ガスの化学組成調査に引き続き、様々な質量および金属量の大質量星に対して放出ガスの化学組成を網羅的に調査した。高密度物質の性質に関しては未だ不明な点もあり、爆発の正否に重要な状態方程式には不定性があるので、本研究では、原始中性子星が存在する超新星の中心部は計算領域に含めずに、放射されるニュートリノの光度・温度をパラメータとして2次元非球対称超新星爆発計算を行った。爆発計算の結果に基づいて組成計算を行い、以下のことを明らかにした。(1)放出される鉄の質量は爆発エネルギーに正の相関がある。(2)逆に[Mg/Fe]は爆発エネルギーに負の相関がある.ここで[A/B]は核種A,Bの質量比X(A)、X(B)(およびその太陽系での質量比)を用いてlog[(X(A)/X(B))/(X(A)sun/X(B)sun)]で与えられる。(3)金属量0の大質量星の超新星爆発によって放出されるガス組成を質量関数で平均した組成は,低金属量恒星の表面組成の観測値をおおむね再現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通り、今年度は、様々な質量・金属量を持つ大質量星に対して、重力崩壊・超新星爆発の流体力学シミュレーションおよび放出ガスの化学組成計算を行った。その結果は国内外の学会で発表済みである。併せて核反応熱の影響を考慮した流体力学コードを開発し、15倍の太陽質量を持つ恒星の超新星爆発計算をいくつかのモデルに対して行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行った様々な質量・金属量を持った大質量星の重力崩壊・超新星爆発に伴う放出ガスの鉄族元素以下の化学組成・質量および鉄族より重い核、主にp核に関するに調査結果を論文としてまとめる。 さらに上記の重力崩壊・超新星爆発の流体力学シミュレーションでは考慮されていないが、爆発に対する重要性が過去の研究において指摘きれている核反応熱を考慮した爆発の流体力学シミュレーションを実行する。その結果に基づき放出ガスの化学組成への核反応熱の影響を明らかにする。 最後にここまでの計算では考慮されていない3次元効果を調査するために(上記の流体力学シミュレーションでは軸対称が仮定されており2次元コードを用いて計算を行った)、連携研究者国立天文台・固武慶助教と協力し、公開コードZeusMPを元に超新星爆発の3次元流体力学コードを開発する。
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Research Products
(6 results)