2011 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子・原子核シミュレーションにおける計算方法のブレークスルー
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22540301
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
出渕 卓 独立行政法人理化学研究所, 計算物理研究グループ, グループリーダー (60324068)
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Keywords | 格子場の理論 / Cabibbo・小林・益川理論 / B中間子 / K中間子 / カイラル対称性 |
Research Abstract |
H23年度はCabibbo,小林・益川理論の検証に重要なB中間子の物理の計算、K中間子の2つのπ中間子への崩壊の計算方法の研究を行った。B中間子は重い(5GeV)bクォークから作られるが、現在の計算資源で実行可能な格子の紫外切断が2GeV程度の格子理論にはbクォークは重すぎるためそのままでは載せることが出来ず巨大な系統誤差が出てしまう。この問題を回避するため、格子上でbクォークの量子色力学での有効相互作用をもとめた。またbクォークが無限に重い極限の格子計算とそのために必要な繰り込みの摂動計算を行った。 カイラル対称性を保つドメインウォールクォークを用いて、カイラル対称性を保つドメインウォールクォークを用いることにより、電弱相互作用を表す7つの演算子間の非物理的な量子混合を抑制することにより、有限体積効果を用いた直接計算(Lellouch-Luscher法)に成功した。まだ小さい体積での非物理的なパラメータでの試験的な計算であるが有望な結果である。 また、格子QCDに電磁気の効果を取り入れた格子QCD+QEDの計算を引き続き行っており、現在海クォークの電荷の効果を計算している。これによりアイソスピン対称性(アップとダウン型クォークをとり変える対称性)の僅かな破れまでも正確に計算が出来るようになり、また将来はミューオン異常磁気能率などの重要な計算に応用が可能である。 H24 5月にワークショップを予定しているため参加者への旅費援助として繰り越しを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cabibbo・小林・益川理論に関する、B中間子、K中間子の計算に関しては当初の予定通り振興している。クォークの伝搬関数を効率良く解くアルゴリズム開発に関しては、固有値問題をLanchos法を改良して解くことに取り組んでおり、有望そうであるとの感触を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
高効率なクォーク伝搬関数の解法に関して、計算速度及び使用メモリを抑えたアルゴリズム開発が次世代の格子計算では必須であり、優先度を高くして兼有する予定である。
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