2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540313
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松多 健策 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (50181722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 光順 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (50218939)
三原 基嗣 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60294154)
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Keywords | 磁気モーメント / 陽子ドリップライン / 核構造 / 核スピン偏極機構 / 不安定核ビーム / 核磁気共鳴 / ベータNMR / 荷電交換過程 |
Research Abstract |
理化学研究所にて、^<31>Clの磁気モーメント測定の実験課題が採択されている。ビームタイムが23年秋に決定されたが、24年9月に延期となった。23年度はこの磁気モーメント精密測定の実行に向けて、精密NMR実験のため必要な準備研究を、放射線医学総合研究所にて行った。 23年度の研究成果としては、スピン偏極した不安定原子核の生成に関する知見を大きく進展させる事が出来た事と、陽子過剰の^<28>Pについて、電気四重極モーメントの測定に初めて成功した事があげられる。これらは、ともに、24年度に^<31>Clの精密実験を実施する際に重要になる知見であることは言うまでもないが、それ自身、不安定核の核構造に新しい知見をもたらすものとなった。 これまでPのアイソトープのうち安定核種ではスピンが1以上のものがなく、四重極モーメントの研究は全く進んでいなかった。加えて、^<28>Pは陽子過剰核で、陽子ハロー構造を持つ可能性が指摘されて来ており、その検出に有効な四重極モーメントの実験値が待たれていた。今年度、電気四重極相互作用結合定数が初めて測定出来た事で、四重極モーメントの導出が可能になった。この導出には、結晶中の電場勾配の知見が必須であるが、安定核種に四重極モーメントを持つものがないため、実験値がなく、第一原理計算に期待がかかる。現時点での最良の計算値を用いた導出では大きなハロー効果は認められなかったが、計算の精密化が進んでいる最中であり、今後の精密実験、計算両面からのアプローチが大いに期待されているところである。 一方、スピン偏極の生成に関しては、これまでの入射角破砕過程による生成から、子のピックアップを含む荷電交換反応過程での生成に移行しつつ有り、上記の^<28>Pの研究では、その有効性が発揮された。^<31>Clでもこのテクニックを駆使する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
掲げた目的達成に向け必要な技術開発、とりわけ、中間エネルギー重イオン衝突に置ける荷電交換過程での不安定核生成と核スピン偏極機構の理解が十分に進んでいる。もっとも有効な^<31>Clの磁気モーメント測定実験に関しては、加速器側の都合により実施が遅れているものの、その準備研究に置いて、基礎をなす技術革新に加えて、核構造に重要な知見を提供して来ている点を評価出来ると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
理化学研究所での^<31>Clの磁気モーメント測定のためのビームタイムが24年9月に決定されるはこびである。24年度はこの磁気モーメント精密測定の実験成功に向け充分準備を行う。 加速器側の都合により、これまで2度にわたりビームタイムが延期されて来たが、実行に向けて精密NMR実験のため必要な準備研究を、放射線医学総合研究所にて行ってきた。準備研究の成果により、技術革新が進んでいるのみならず、23年度中に、陽子過剰の^<28>Pの電気四重極モーメントが決定出来、新たな知見が得られている。 万一またビームタイムが延期される事態になった場合は研究期間を超えてしまうが、24年度に準備を完了させ、研究自身は続行する。多少遅れる事になっても、実験を行い成果を出すとともに、成果の公表を行いたい。
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Research Products
(2 results)