2012 Fiscal Year Annual Research Report
内殻励起X線分光に関する第一原理バンド計算からの理論的研究
Project/Area Number |
22540325
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 学 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50250816)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 共鳴散乱 / 光電子分光 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
カイラル結晶のα水晶、αベルリナイト、テルルにおけるX線共鳴散乱の入射偏光依存性に関する研究を行った。Si,Al,PのK吸収端やTeのL1吸収端の共鳴プロセスと円偏光を利用して結晶のカイラルを区別できることが実験で示されている。我々は、光学過程を微視的な電子論に基づいて考察し、電気双極子近似の範囲で、散乱強度の入射X線エネルギー依存性、ブラッグスポット依存性、アジマス角依存性、偏向依存性、カイラル依存性を説明する理論を構築した。α水晶、αベルリナイトについて、ボンドオービタルモデルを用いて、テルルについては、局所密度汎関数近似によるバンド計算を用いて、電子状態を求め、その結果を我々の導いた散乱強度の理論式に当てはめ散乱強度の計算を行い、概ね実験結果を説明できることを示した。注目すべきは、ア散乱強度のジマス角変化に対する正弦振動の対称線が結晶の対称軸からずれることが、双極子近似の範囲で説明できることを示したことである。テルルにおいて、そのずれが実験と我々の理論計算が良い一致を示すことも確認できた。このずれは、コアホールの寿命とバンド構造が絡みあって現れている。励起コアの寿命がスペクトルの幅に現れるだけでなく、強度のアジマス角に依存性のシフトとして現れる点が大変興味深い。これらの結果のうち水晶とベルリナイトについては学会およびPhysical Review B上で発表し、テルルについては日本物理学会で発表した。 また、終状態ポテンシャル則の仮定のもとで、始状態と終状態のスレーター行列波動関数の内積を第一原理バンド計算を用いて計算する手法を、ホイスラー合金の光電子分光スペクトルの解析に適用することを試みた。その結果、ハーフメタル合金においても終状態ポテンシャル則がうまく働くき実験スペクトルをよく再現できることを確かめることができ、サテライト強度の由来についての知見が深まった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)