2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540326
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安藤 恒也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90011725)
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Keywords | ディラック電子 / ナノチューブ / トポロジカル異常 / ニュートリノ / ベリー位相 / 光学フォノン / ラマン散乱 / 磁気フォノン共鳴 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ及びグラフェンに関する申請者の理論的研究により、グラフェン系の電子状態を取り扱う理論的手法が確率されつつある。この研究をさらに発展させ、単層及び2層グラフェンの電子状態、輸送現象、電子間相互作用、光学的性質の特徴を理論的に明らかにすることを目的とする。取り組むテーマはトポロジカル特異性に起因する現象の解明、トポロジカル欠陥などの電気伝導への効果、サイクロトロン共鳴を含む光吸収と励起子効果、格子振動と電子-格子相互作用の解明を中心とする。また、実験の発展に呼応し、さらに新しいテーマにも取り組む。取り組むテーマは[1]トポロジカル特異性、[2]電気伝導、[3]光吸収と励起子効果、[4]格子振動と電子-格子相互作用である。本年度は以下のような成果を上げた。 [1]トポロジカル特異性=その最も典型的な例である反磁性帯磁率の特異性を解明するために、空間変動磁場応答に対するバンドギャップと不規則性の効果を明らかにした。長波長の磁場に全く応答しないことはバンドギャップによっても変化しない.また,不規則性が強い場合にはギャップがほとんど帯磁率に寄与しないことを示した. [2]電気伝導:任意のポテンシャル到達距離の散乱ポテンシャルに対してセルフコンシステントボルン近似の手法を拡張し,最小伝導率が不規則性の程度により変化することを示した.反磁性帯磁率へと応用し,デルタ関数が到達距離の逆数に比例するエネルギー程度まで広がることを示した.また,同様な方法を2層グラフェンへと拡張した.[4]格子振動と電子格子相互作用:電気伝導の磁気フォノン共鳴効果を計算し,K点K'点付折のフナノンが大きく寄与することを明らかにした
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最重要課題であるディラック点でのトポロジカル異常に伴う反磁性帯磁率のデルタ関数特異性の起源に関しては,ギャップの効果,空間変動磁場に対する応答,擬スピン常磁性との類似点など,様々な角度から研究を行い,かなりの進展があった.予想を上回る成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
電気伝導:任意のポテンシャル到達距離の散乱ポテンシャルに対してセルフコンシステントボルン近似の手法を拡張することに成功したが,その方法を弱磁場ホール効果,強磁場の量子ホール領域へと応用することが次年度の課題として浮上した.同様に,2層グラフェンへの応用も一つの課題である. トポロジカル特異性:単層グラフェンを折りたたむことによって作られる2層グラフェン端付近の電子状態を有効質量理論に対する有効境界条件として理解することを試みる.
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Research Products
(5 results)