2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540327
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 修一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30282685)
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 表面状態 / 輸送現象 / 熱電変換 |
Research Abstract |
トポロジカル絶縁体のエッジ・表面の輸送現象について、主に熱電輸送に関する研究を行った。2次元トポロジカル絶縁体のエッジ状態や、3次元トポロジカル絶縁体の結晶転位上の1次元状態は純スピン流を運ぶ特殊な状態であり、後方散乱を受けないため、輸送に関しては特殊な性質をもつと期待される。以前のエッジ状態の研究に引き続いて本年は結晶転位上の1次元状態について計算し、結晶転位が密になるに従って熱電変換性能指数ZTが低温で増大することが理論的に見出された。この計算においては結晶転位が導入されるにつれて乱れが増し、移動度端がバンドの底から次第に離れていくことを考慮しており、このことはZTの増大傾向をさらに強める働きをすることが分った。この転移上の状態は全てのトポロジカル絶縁体にあるわけではなく、例えばビスマス-アンチモン合金など限られたクラスのトポロジカル絶縁体でのみ見られる。 また並行して、3次元トポロジカル絶縁体での不純物効果について研究を行った。トポロジカル絶縁体を表わす4バンド模型に不純物を導入した時、トポロジカル絶縁体と通常の絶縁体との間の相転移がどのように変わるかを計算した。その結果トポロジカルな相転移は乱れが導入されても残り、最終的には価電子帯および伝導帯にある非局在状態が互いに近接してくることによりギャップが閉じて相転移が起こることが分った。この相転移は、トポロジカル絶縁体と通常の絶縁体との相転移に一般的に適用されると考えられる。
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Research Products
(10 results)