2012 Fiscal Year Annual Research Report
光子・電子・核スピン結合系の量子状態制御の理論的研究
Project/Area Number |
22540328
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
高河原 俊秀 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00111469)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 量子メモリ / ドナー束縛励起子 / 超微細相互作用 / 量子計算 |
Research Abstract |
少数電子・単一原子核スピン結合系のダイナミクスを調べた。具体的には、核スピンの初期化のアルゴリズムを考案した。Si:Pやダイアモンド中のNVセンターでは、光励起による核スピンの初期化が試みられているが、100%の完全偏極には到っていない。ここでは、ドナー束縛励起子を中間状態とする高速でかつ完全な偏極をもたらす光学的方法を考案した。ドナー束縛励起子には三重項と一重項状態がある。まず基底状態である一重項状態を経由する光学過程により、ドナー電子のスピン偏極が可能であることを示した。次に三重項基底状態を光励起し、それがエネルギー的に近い一重項状態に遷移する時に、超微細相互作用によりドナーの核スピンをフリップさせる機構が有効であることがわかった。一重項状態に遷移した後の励起子の緩和にはフォノンの関与が必要だが、この緩和は極めて速く、三重項状態への逆戻りは無視できる。即ち、一方向性の非熱平衡型偏極過程になっている。従って、このスピン偏極したドナー電子から三重項基底状態励起子への光励起を繰り返し行えば、核スピンの完全偏極を実現できる。ドナー束縛励起子は電子2個、正孔1個、固定原子核からなる多粒子系であり、その励起状態も含めた固有状態の全貌は実験的にも、理論的にも未開拓である。そこで、この全貌を明らかにすべく新しい計算方法を開発した。昨年度までは全角運動量が0の状態を扱ってきたが、核スピン偏極においては、全角運動量Jが0でない状態も重要な寄与をする可能性がある。そこで、全角運動量が0でない状態を計算する方法を定式化した。II-VI族半導体ZnSeでは、ドナー束縛エネルギー及び励起子束縛エネルギーが大きく、全角運動量が0でない状態はエネルギー的に高いのでフォノンの関与する緩和過程への寄与は大きくないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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