2011 Fiscal Year Annual Research Report
発光とラマン散乱による半導体ナノ粒子-金属局在型表面プラズモン間相互作用の解明
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22540330
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 愛士 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (10261546)
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Keywords | 半導体ナノ粒子 / 金属ナノ薄膜 / 局在型表面プラズモン / 発光 / ラマン散乱 |
Research Abstract |
金属ナノ構造中に生成される.局在型表面プラズモンが半導体ナノ粒子の光学特性におよぼす影響を調べるために、金属ナノ薄膜/スペーサー/半導体ナノ粒子単層膜試料を作製し、発光とラマン散乱のスペーサー層厚依存性について研究した。平成22年度に金属として金を用いた試料を作製し、その発光およびラマン散乱強度のスペーサー層厚依存性等を調べた。平成23年度は、まずこれらの測定結果について考察した。発光強度は、スペーサー層厚が薄くすると一旦増大した後、劇的に減少し、電磁場増大効果とエネルギー移動効果の競合が起きていることを示した。ラマン散乱強度は、スペーサー層厚が薄くなるに従い増大した後、若干減少した。どの層厚においてもラマン散乱増強度は1以上であり、この結果からも電磁場増大効果があることが示された。ラマン散乱強度が減少したのは、局在型表面プラズモンの遅延効果や光励起が電子の実励起を伴うていることが原因ではないかと考えている。 次に、金属として銀を用いて同様の3層構造試料を作製した。銀ナノ薄膜およびSiO_2のスペーサーをスパッター装置により作製し、吸収スペクトル測定により局在型表面プラズモンの存在を確認した。しかし、LB膜を作製するために表面の疎水処理を行ったところ、銀ナノ薄膜が変質してしまうことが判明した。そこで改善策として、SiO_2のスペーサーの上にポリマーフィルムをスピンコートしたところ、当初予定していた試料を作製することに成功した。作製した試料の発光強度のスペーサー層厚依存性を調べた。その結果、スペーサー層厚の減少とともに一旦発光強度が増大し、その後少し減少する傾向が見られた。また、金の場合に比べてエネルギー移動による発光減少効果よりも電磁場増大効果が大きいことや増強度が最大となるスペーサー層厚が異なることを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料を作製するにあたり相当な時間の経験が必要であったこと、予想していた以上に試料作製上の問題を解決するのに時間を要したこと、吸収スペクトルや発光スペクトルの測定を再現性を確認しながら慎重に進める必要があったことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
試料の作製方針は決まったので、経験を積みながら行っていけば当初予定していた研究を進めていけると考えている。しかし、半導体ナノ粒子単層膜の作製方法は、非常に時間のかかる作業であるため、化学吸着による作製手法の検討も同時に行っていきたいと思う。さらに、解析的な理論計算による検討には限界があったため、シミュレーション計算による解析も行いたい。
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Research Products
(2 results)