2013 Fiscal Year Annual Research Report
多端子量子ドット系の理論研究:制御可能なスピンホール効果の提案
Project/Area Number |
22540333
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江藤 幹雄 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00221812)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 量子ドット / メゾスコピック系 / スピンエレクトロニクス / スピン軌道相互作用 / 近藤効果 / ナノワイヤ / ジョセフソン接合 / スピンホール効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、半導体量子ドットの多端子系を理論的に研究し、スピン軌道相互作用によるスピンホール効果、近藤効果によるリード間のエンタングルメント生成、および位相緩和を解明することである。平成25年度は次の成果を上げた。 1.InAs, InSb等の狭ギャップ半導体ナノワイヤに超伝導体を接続した系を調べ、磁場中のジョセフソン効果へのスピン軌道相互作用の影響を明らかにした。昨年度は、擬1次元系でのスピン軌道相互作用を一つの散乱体で表現するモデルを採用し、超伝導体間の位相差がないときに超伝導電流が流れる異常ジョセフソン効果、および臨界電流の方向依存性を導出した。今年度は、空間を離散化したタイト・バインディング・モデルを採用し、現実的なナノワイヤでのジョセフソン効果を数値計算によって詳細に調べた。散乱体モデルの正当性を確認し、また磁場の方向によって臨界電流が変化することを示した。この計算結果は、Kouwenhovenグループ(オランダ、デルフト工科大学)の実験結果を定性的に説明することがわかった。 2.量子ドットを埋め込んだアハラノフ・ボームリングを多端子に接続した系に着目し、近藤効果の性質を理論的に調べた。この系は樽茶グループ(東大工)の高田氏らによって実験的に調べられ、2端子系でのOnsagerの相反定理による制約を受けることなく、量子ドットを透過する電子の位相を測定できることが示されている。まず、我々が以前開発した、量子ドット複合系を「量子ドット+1本のリード」の有効モデルに帰着させる計算手法が、本多端子系にも適用できることを示した。その手法によって、近藤効果の強さを特徴付ける物理量である近藤温度の磁束依存性、および低温領域と高温領域での電気伝導度の解析式を導出した。この系によって得られる電子の位相情報、および位相緩和の理解につながる弾性・非弾性過程の観測可能性を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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