2010 Fiscal Year Annual Research Report
微視的非局所光学応答理論の部分的巨視化により実行できる未開拓問題の研究
Project/Area Number |
22540338
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
張 紀久夫 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 名誉教授 (60013489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大淵 泰司 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (10201980)
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Keywords | 微視的応答理論 / 部分的巨視化 / 内殻共鳴回折 / 禁制回折過程 / 左右回り水晶 / キラル対称 / split-ring共振器 / 長波長近似 |
Research Abstract |
研究代表者はこの計画の基礎になっている新しい巨視化の方法論を世に受け入れられるようにすべく著作や講演をする一方,具体的な問題に応用することでこの方法論の有効性を示すことを目標にしている.著作に関しては以下の発表の報告の通りで,具体的な問題としては「内殻共鳴回折による右・左回り水晶の判別方法」として,単一感受率理論を回折に応用し,回折過程としてE1遷移と(M1またはE2)遷移を1回づつ使うものを取り入れると,高温の非キラル対称では禁制になる回折が低温のキラル対称系では有限値になることがわかった.この有限値が右・左水晶では異なる値になることから両者を実験的に区別できることになる.数値解析の第一歩としては内殻共鳴遷移の行列要素のE1,E2,M1成分をパラメタ化し,回折強度を計算するプログラムを開発している.また,共鳴を利用した左手系にキラル効果を入れると,従来知られていなかった新しい分散曲線になり,これが代表者の新しい巨視的応答理論の典型例になるので,その応答スペクトルの研究を始めた.一方,研究分担者は次年度以降、研究予定の「メタマテリアルの非局所応答」の研究を目指して、振動数に依存した誘電率を持つ周期系の電磁場モードを求めるコードを開発し、split-ring共振器からなる系に適用した。これにより単位胞を大きく取れば、非局所応答理論を適用するのに必要な単位構造内の情報も得られる一方、バンド幅から長波長近似の限界を見積もることもできる。(22年度の研究計画は東日本大震災のため一部の出張計画が中止となったため、内容を変更した出張費として23年度に繰り越し実施した。)
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