2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540340
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井上 純一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (90323427)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 判定法 / 光学的性質 |
Research Abstract |
基礎応用両面から注目を集めているトポロジカル絶縁体は,電荷やスピンが散逸無しに流れることが理論的に予言されて以来,応用への期待から様々な物質探索がなされており,現在までにビスマス系ナローギャップ半導体などで数種類が特定されている.候補物質がトポロジカル絶縁体であるか否かを判断する手法としては角度分解光電子分光が用いられ,定量的な観点から信頼のおける測定方法としての地位を築いている.しかし,設備の大規模さ故,利用できる施設数も限定的であり,さらにはデータの解析も経験と技術を擁する専門性の高い内容となっており,異分野からの参入者には敷居が高く,光電子分光法は簡便とは言いがたい.今後,物質探索をより活性化するためには,実験室レベルで手軽にトポロジカル絶縁体を判定する手段が必須であると考える.そこで,この絶縁体がもつ特異な光学的性質を利用し,トポロジカル絶縁体薄膜に対して実験台レベルで可能な判別方法を理論的に提案した.この方法の特徴は,定量的な解析を要しない点にある. この判別法では光の干渉を利用する.先ずトポロジカル絶縁体の光学的性質を記述する構成方程式の交差相関項が,薄膜表面に分布する量子化されたホール伝導度と等価であることを示した.次に,薄膜表面にだけホール電流が存在する系に対する,円偏光単色レーザー光の透過係数と反射係数を求め,これらの係数の円偏光方向依存性,および入射する薄膜表面の裏表依存性を議論した.これらを基に薄膜表裏から同時に円偏光単色光を入射し,その片側で透過光と反射光の干渉光を測定する状況を想定した.その測定結果の右左円偏光入射時の差分を取り,両者が相殺すれば通常絶縁体,相殺せず値が残ればトポロジカル絶縁体であるという判定方法を理論的に確立した. この結果は,簡便な定性的判定法を確立したことで今後のトポロジカル絶縁体物質探索分野において大きな意味を持つと期待される
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)