2011 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性絶縁体を用いた磁性ナノ構造におけるスピン依存伝導の理論的研究
Project/Area Number |
22540346
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 三郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60171485)
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Keywords | スピントロニクス / 強磁性絶縁体 / スピン流 / スピンホール効果 / スピン注入 / スピン蓄積 |
Research Abstract |
本年度は、強磁性絶縁体と非磁性金属からなる接合系において、非磁性金属のスピンホール効果を利用した強磁性絶縁体へのスピン注入の理論を構築した。非磁性金属により電流を印加すると、スピンホール効果により非磁性金属中にスピン蓄積.(スピン圧)を生じる。接合界面で働く伝導電子と局在スピンの間に働く交換相互作用により、接合界面を流れるスピン流をスピン圧の関数として導出した。高温(室温)では、スピン流-スピン圧特性は線形となり、その比例係数であるスピンコンダクタンスが交換相互作用定数、交換スティネス定数、温度の関数として求められた。スピン流が接合界面で連続であるという境界条件から、強磁性絶縁体に注入されるスピン流の表式を導出し、注入スピン流の印加電流、スピンホール角、スピンコンダクタンス、非磁性金属のスピン抵抗への依存性を明らかにした。本研究により、強磁性体絶縁体であるイットリウム鉄ガーネットとスピンホール角の大きい白金からなる接合において、イットリウム鉄ガーネットに注入されるスピン流密度の大きさやスピン注入効率を評価することができるようになった。ギルバート緩和定数が非常に小さい強磁性絶縁体では、スピン流注入による磁化反転の臨界スピン流密度が小さくなるので、スピンホール効果を利用した低消費型のスピン注入磁化反転デバイスが実現可能である。本年度に得られた成果により絶縁体スピントロニクスの新しい可能性が拓かれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピンホール効果を利用して、非磁性金属のスピン蓄積から強磁性絶縁体のマグノン流への変換が起こることを実証し、強磁性絶縁体へ注入されるスピン流の大きさに対する理論式を得た。これを基にして、イットリウム鉄ガーネットと白金からなる接合におけるスピンの注入効率が議論できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた成果をさらに発展させることにより、スピンホール効果を用いたスピン注入により磁性絶縁体の磁化の向きを制御するスピン注入磁化反転素子の可能性を検討し、磁性絶縁体を用いた新しいスピントロニクスデバイスの研究を推進する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Inverse spin-Hall effect induced by spin pumping in metallic systems2011
Author(s)
K. Ando, S. Takahashi, J. Ieda, Y. Kajiwara, H. Nakayama, T. Yoshino, K. Harii, Y. Fujikawa, M. Matsuo, S. Maekawa, and E. Saitoh
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Journal Title
J. Appl. Phys
Volume: 109
Pages: 1591(1-11)
DOI
Peer Reviewed
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