2010 Fiscal Year Annual Research Report
圧力下SQUID-ESR法によるイジング性磁気強誘電体の秩序構造安定性の起源解明
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22540349
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
櫻井 敬博 神戸大学, 研究基盤センター, 助教 (60379477)
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Keywords | SQUID-ESR / SQUID磁束計 / 磁化検出型ESR / 圧力 / イジング性磁気強誘電体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、圧力下におけるSQUID-ESR測定技術の確立と、同手法によるイジング性磁気強誘電体Ca_3CoMnO_6の秩序構造の安定性の起源解明である。本年度は主に測定技術の開発に注力した。SQUID-ESRとは、共鳴条件下におけるスピンの遷移に伴う磁化変化をSQUID磁束計により検出する磁化検出型のESRである。本手法は、ミクロな情報を得るESRに加え、マクロな物理量である磁化の測定が、圧力下において同時に出来るという利点がある。まず圧力セルを使用しない状態で、試料の吊り棒を兼ねるライトパイプの径の最適化を図った。径は3φと構造上ほぼ上限である6φを試した。その結果、6φのライトパイプでは、3φの場合に比べ最大で1桁程度感度の向上が可能であることが分かった(最小スピン検出感度10^<13>spins/G、1.8K、105GHz)。次に圧力下SQUID-ESRを行った。まず、磁化測定用の圧力セルとして一般的な、全長125mm、外径8.7mm、内径2.7mmのシリンダーを用い、内部部品を電磁波に対して良好な透過度を示すジルコニアで製作してSQUID-ESRを行った。 試料はS=1でゼロ磁場分裂を有する磁性体であるNiSnCl_6・6H_2Oを用いた。その結果、圧力下において世界で初めてSQUID-ESRによるESR信号の観測に成功した。更に圧力セルの形状について検討を行ったところ、主にシリンダーの全長を短く(42mm)することにより大幅な感度の向上があり、圧力下において10^<14>spins/G(1.8K、105GHz)程度の最小スピン検出感度を得ることに成功した。
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