2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540353
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
伊藤 豊 独立行政法人物質・材料研究機構, 理学部, 准教授 (50378543)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 超伝導 / 磁束相 / 渦糸芯状態 |
Research Abstract |
第2種超伝導体の磁場中磁束状態における渦糸芯内の束縛状態は,かつては実測不能と思われていたが,サイト選択的にNMR測定をすることが可能とわかってきた。本研究の目的は,様々な超伝導体の渦糸芯内の量子干渉状態をNMR法で系統的に観測し,その局所磁性を明らかにすることにある。具体的にはd波超伝導体とs波超伝導体の渦糸芯内状態の核スピン格子緩和時間の空間分布の詳細を解明し束縛状態の理論に対する検証を行い,任意形状の超伝導体の磁束分布を決定できるExsitu-NMR法を開発し,渦糸芯内の電子相関効果と磁束相図における磁束の集団運動との排他的な観測方法を確立するにある。 本年度は所属機関の移動に伴い,スタート段階の本研究の計画全体の構成と実験遂行の行程の見直をおこなった。現在の任地で高分解能NMR用超伝導マグネットが利用できるため零磁場から9 Teslaまでの精密測定が可能となり,このマグネット用の低温クライオスタットとしてガラスデュワーの設計と発注を開始した。またカスタマイズした温度調整器の設計と発注をおこなった。300Wのパワーアンプの設置に伴い十分なNMR信号の励起を確実とするためのスリムタイプのNMRプローブの試作を開始し,予備的な加工とNMR信号の観測を行い,プローブ設計改善に向けて現在調整中である。今後,基礎的なNMR/NQRデータの取得のためにHg1223とLiTi_2O_4を対象にNMRスペクトルの測定と核スピン格子緩和時間の分布の測定をおこない,実験設備の改善をおこない,混合状態の測定に進む予定である。
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