2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540355
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浅野 泰寛 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20271637)
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Keywords | 物性理論 / 超伝導素子 |
Research Abstract |
発光ダイオード(LED)は交通信号や懐中電灯に使われるなど日々の営みに深く浸透し、省エネルギーの達成と快適な生活の維持を両立させる優れた電子素子である。半導体pn接合で生じる発光という物理現象は、このように極めて身近なものである。最近、発光現象の新たな側面に注目した研究が精力的に行われている。 23年度は、申請者が報告した理論に基づきクーパー対発光の理論を進展させるとともに、クーパー対が対として発光している確実な証拠を得るために、実験と協力して研究を実施した。特に超伝導近接効果が発光現象に及ぼす効果を現象論的に考察し、実験で制御可能なパラメータの関数としてどう観測されるかを調べ、実験研究の結果ともある程度の一致をみた。また逆に光子がクーパー対に吸収されることによって、超伝導近接効果にどのように変更を受けるかを理論的に調べた。ここではスピン1重項超伝導体の近接効果と、スピン3重項超伝導体の近接効果を比較しながら研究を進めた。古典電磁場の範囲内で光子を記述したところ、スピン1重項超伝導体の近接効果の場合には金属中で良く知られた表皮効果を示す事が確かめられた。その一方、スピン3重項超伝導体に接した金属は異常な表皮効果を示すという結論を得た。後者は金属が電磁気学的に不安定になっていることを暗示しており、更に詳細な理論研究の課題が生じた。24年度はこうした電磁気的な異常を実験的に確認する方法の予言を行うつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理論的な裏付けが出来たことにより、これまで行ってきた実験研究の成果が多くね整理できて、幾つかの重要な論文発表に至っている。当初の予定はほぼ達成できたと考えている。また逆に全く新しい理論的な課題を見出したことが順調に進展している理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに発生した課題は、超伝導近接効果自体の根深い問題である。これを解決するために、まずは純粋に理論研究を推進する予定である。
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[Journal Article] Enhanced photon generation in a Nb/n-InGaAs/p-InP superconductor/semiconductor-diode light emitting device2011
Author(s)
H.Sasakura, S.Kuramitsu, Y.Hayashi, K.Tanaka, T.Akazaki, E.Hanamura, R.Inoue, H.Takayanagi, Y.Asano, H.Kumano, I.Suemune
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Journal Title
Physical Review Letters
Volume: 107
Pages: 157403(1)-(4)
DOI
Peer Reviewed
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