2010 Fiscal Year Annual Research Report
多ギャップ固有ジョセフソン接合におけるジョセフソン効果とレゲット・モード
Project/Area Number |
22540358
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 富男 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30153696)
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Keywords | レゲット・モード / 固有ジョセフソン接合 / 多ギャップ超伝導体 |
Research Abstract |
超伝導状態は、U(1)対称性を自発的に破った状態である。この状態では、南部-Goldstoneモードと呼ばれるmasslessの位相モードが現れるが、電荷をもつ電子系ではこのモードはゲージ場に吸収され観測されなくなる。ただし、複数の超伝導ギャップ及びその位相が定義できる多バンド系の超伝導体では事情は少し異なる。ゲージ場に吸収されるのは、in-phaseの位相モードのみであり、out-of-phaseの励起モードは低エネルギー領域にとどまることが知られている。このモードは、レゲット・モードと呼ばれる。近年発見された鉄系超伝導体は、多バンド超伝導体であることが知られている。したがって、鉄系超伝導体でレゲット・モードを観測できる可能性がある。本研究では、大きな異方性を持つ層状の鉄系超伝導体のレゲット・モードを考察し、このモードの励起が物理量にどのような効果を与えるかを考察する。特に、固有ジョセフソン接合を形成する多ギャップ系の位相のダイナミクスを記述する理論の構築を目指す。2010年度は、微視的な2-gap系のHamiltonianから有効作用を導出する方法で、超伝導位相差に対する有効Lagrangianを導いた。さらに、このLagrangianから導かれる運動方程式を数値的に解き、レゲット・モードを共鳴励起させるための条件を解明した。2010年度の成果として、電流-電圧特性が多重ブランチ構造をとる場合、その内部ブランチでジョセフソン振動とレゲット・モードの共鳴が起きることを明らかにした。この共鳴により、電流-電圧特性にステップ状の構造が現れた。
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Research Products
(10 results)