2011 Fiscal Year Annual Research Report
多ギャップ固有ジョセフソン接合におけるジョセフソン効果とレゲット・モード
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22540358
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 富男 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30153696)
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Keywords | レゲットモード / 固有ジョセフソン接合 / 多ギャップ超伝導体 |
Research Abstract |
本研究の課題は、大きな異方性を持つ多ギャップ層状超伝導体におけるレゲット・モードを考察することにある。特に、異方性が大きく単結晶でもジョセブソン接合となる固有ジョセブソン接合系を主要な研究対象とする。このような超伝導体は、厚いブロック層を持つ鉄系超伝導体中に見出される可能性がある。本研究では、まず、多バンド固有ジョセブソン接合系における超伝導位相ダイナミクスを記述する基礎理論を構築した(2010年度)。この理論は、微視的2-gap系に対するBCSハミルトニアンから有効作用を導出する方法を用いて導出された。本年度は、この基礎理論から導かれる運動方程式を数値的に解き、種々の物理量の計算を行った。接合系の電流-電圧特性に対する計算では、多重ブランチ構造をとるIV曲線の内側のブランチでジョセブソン振動とレゲット・モードの共鳴が起きることを示した。この結果から、レゲット・モードを共鳴励起させるための条件を明らかにすることができた。また、極低温で現れる巨視的量子効果に対する研究も行った。2-gap接合系におけるスイッチング電流値の分布で観測される巨視的トンネル効果のレートは、レゲットモードの励起により、顕著に増大することを明らかにした。その他に、2-gap系の渦糸状態を記述できる非局所ギンツブルグ-ランダウ理論の構築も行った。この理論を用いた計算により、GLパラメーターが1以下のバンドを持つ場合、渦糸間の相互作用は引力部分を持つことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な課題は、レゲットモードを共鳴励起させる方法を明らかにすることである。昨年度までの研究で、多重ブランチ構造をとる電流・電圧特性の内側のブランチにレゲットモードに起因する共鳴効果が現れることを明らかにすることができ、研究目的の一つが達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、最終年度であるので、残された課題の完成に向けた研究を行う。特に、磁場中のレゲットモードの理論の構築を目指す。
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Research Products
(9 results)