2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の2量体性・フラストレーション制御による超伝導転移機構の解明
Project/Area Number |
22540365
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊東 裕 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10260374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大成 誠一郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80402535)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 有機超伝導体 / 2量体性 / β型分子配列 / 一軸性圧縮 / スピン揺らぎ / フラストレーション |
Research Abstract |
本研究では、BEDT-TTF(ET)塩の超伝導転移について、一軸性圧縮下での転移温度Tcの測定と理論解析を通して分子の2量体性、三角格子フラストレーションの観点から解明することを目的とする。 本年度はβ-(ET)2I3の高Tc相が常圧で出現するβ-(ET)2IBr2について実験を行った。その結果、β-(ET)2I3と同様にスタック平行、スタック垂直の2方向とも低圧領域でTcが上昇し、後者のほうが大きいTcの上昇を示した。またβ-(ET)2I3と同様に、2量体性を考慮した1/2フィルド下での反強磁性スピン揺らぎによるTcの計算結果の傾向と一致した。これらの結果は以下のことを示している。①β-ET塩ではBDA-TTP塩に比べ分子の2量体性が大きく、β-ET塩の超伝導には2量体性により強まった電子相関による反強磁性ゆらぎが重要である。②スタック垂直圧縮でTcが上昇することは、三角格子フラストレーションの解放がTcの上昇をもたらす寄与を示す。③両物質で共通するTcの圧力変化が見られたことは、β-(ET)2I3で常圧下に存在する超格子構造はTcの圧力変化に影響を及ぼさない。 さらに実験と理論との対応を検討した結果、④室温での構造データに基づくよりも、実験状況に適した低温下(100K)の構造データを用いたほうが、実験結果の一致度がよくなった。また⑤オフサイトクーロン相互作用を入れた拡張ハバード計算により、実験との一致度が向上することを見出した。 以上の研究に平行して、電荷秩序相をとる擬一次元δ型分子配列を持った新規ET塩について、一軸性圧縮下での金属絶縁体転移の解明と超伝導相の探索をすすめ、また擬一次元構造をもつ超伝導体における超伝導の対称性について理論モデルによる考察を進めた。また、圧力による電子状態制御に加えて、イオン液体ゲートトランジスタを用いたフィリング制御を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] New BDH-TTP/[M^III(C_5O_5)_3]^3- (M = Fe, Ga) Isostructural Molecular Metals2013
Author(s)
L. Pilia, E. Sessini, F. Artizzu, M. Yamashita, A. Serpe, K. Kubo, H. Ito, H. Tanaka, S. Kuroda, J. Yamada, P. Deplano, C. J. Gomez-Garcia, and M. L. Mercuri
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Journal Title
Inorg. Chem.
Volume: 52
Pages: 423-430
DOI
Peer Reviewed
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