2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体のディラック電子系の特性に由来する新物性の理論
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22540366
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 晃人 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80335009)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物性理論 / 分子性導体 / ディラック電子系 / 電子相関 / エキシトニック相 / 核磁気共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子性導体α-(BEDT-TTF)2I3では質量ゼロのディラック電子系の存在が電気抵抗やランダウゼロモードの測定などから明らかにされてきた。α-(BEDT-TTF)2I3は層状構造のためNMRや比熱等のバルク測定が可能な唯一の2次元ディラック電子系であり、独自のアプローチによる研究が進展している。最近NMRの1/T1Tにおいて低温異常と呼ばれる特異な振る舞いが観測されたが、そのメカニズムは未解明であった。具体的には、約5K以上では相互作用の無い理想的なディラックコーンにおいて期待される温度Tの2乗に比例するが、5K以下の低温では反転上昇に転じるのである。 本研究では、クーロン相互作用による電子・正孔対の凝縮とそれに伴う揺らぎに注目した。ディラック電子系では伝導バンドと価電子バンドが対称であるためクーロン相互作用によりエキシトニック-CDW/SDWが発現する可能性が指摘されている(D. V. Khveshchenko et al. 2004他)。通常のCDW/SDWと異なるのはバンドが混成するため電子・正孔対の凝縮と解釈できる点である。本研究では、先行研究においてフレーバー量子数として扱われているバレー自由度の対称性が、現実的模型において破られるかどうかを具体的に調べた。はじめにハニカム格子模型において、格子点配置の効果と相互作用の波数依存性を考慮することにより、バレー縮退が解けることを見出した。次にα-(BEDT-TTF)2I3のディラック電子を表す有効模型ではディラックコーンの傾斜によりバレー縮退が破れることを示した。さらに面内磁場中ではバレー間エキシトニック-SDW揺らぎが低温において増大することを見出し、1/T1Tの反転上昇を説明し得るメカニズムを提案した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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