2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540373
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下村 晋 慶應義塾大学, 理学部, 准教授 (00260216)
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Keywords | 電荷密度波 / 磁気転移 / X線回折 / 金属間化合物 / X線散漫散乱 / 電気抵抗 / 格子変調 / 希土類化合物 |
Research Abstract |
最近、SmNiC_2において、電気抵抗の温度依存性に折れ曲がりが現れる温度(148K)で格子変調が発生すること、その格子変調が17.7Kの強磁性転移と同時に消失するとともに電気抵抗が急激に減少することが見出された。また、148K以上で、フォノンのソフト化に起因すると考えられるX線散漫散乱の存在が明らかとなった。以上の結果は、発生した電荷密度波が強磁性秩序と同時に消失するとして理解できる。本研究では、強磁性秩序を示すSmNiC_2に加えて反強磁性的秩序を示すRNiC_2(Rは希土類元素)を研究対象とし、電荷密度波と磁気秩序が関連した新奇現象について詳細な性質を探るべく研究をおこなった。シンクロトロン放射光を用いた低温x線回折実験により、SmNiC_2の強磁性相でも結晶構造は斜方晶が保持されていることが明らかにされた。変調波数ベクトル(0.5,0.516,0)を持つ不整合な変調構造に対してX線結晶構造解析がおこなわれ、電荷密度波状態における各原子の変位パターンが明らかとなった。また、SmNiC_2の高分解能光電子分光実験により、電荷密度波の形成によると考えられるギャップが部分的に開くことを意味する結果が示された。さらに、反強磁性転移を示すRNiC_2について、放射光を用いたX線回折・電気伝導・磁化測定を低温下や磁場中でおこない、希土類元素の違いによる格子変調の類似点と相違点、および、磁気秩序の違いが格子変調にどのような異なる影響を与えるのかを調べている。
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Research Products
(4 results)