2010 Fiscal Year Annual Research Report
固体の電子密度揺らぎを考慮した強相関電子系の電子構造の理論的研究
Project/Area Number |
22540374
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山上 浩志 京都産業大学, 理学部, 教授 (20239867)
|
Keywords | 強相関電子系 / バンド理論 |
Research Abstract |
本研究では、強相関f電子系バンド計算の新たな展開として、局所密度近似を超えた固体の電子密度とその密度揺らぎを考慮した電子相関の計算理論を構築し、相対論的バンド理論と融合させた電子構造の理論的研究を行う。通常のバンド計算で使われる相関ポテンシャルは、量子多体計算で見積もられる1電子当たりの一様な"電子ガス系"の相関エネルギーを応用した局所密度近似が使われる。電子ガス系において、いくつかの計算方法が提案されているが、STLS理論を応用して相対論的バンド理論から計算された電子密度分布での電子相関計算を試みることである。 今年度では、電子ガス系でSTLS理論から得られる相関関数や相関エネルギーなどを高速で安定して求めることのできるFortarn2003プログラムを新規に開発した。汎用性を高めるために、モジュールによるサブルーテン作成とメモリー管理を採用し、バンド計算プログラムとの接合を容易にさせた。計算で得られた相関エネルギーは、量子モンテカルロ計算で得られた値と同程度であることを確認できた。結晶中の電子密度で計算を拡張するために、結晶対称性や原子の配置などを考慮した密度空間分布の計算プログラムの開発を進めた。 揺らぎによる効果の重要や対比をするために、従来の局所密度近似におけるバンド計算も実行した。隠れた秩序状態をもち、現在でも注目されているURu2Si2の常磁性状態と反強磁性状態の電子構造とフェルミ面を新しく観測された原子位置や格子定数を用いて計算を行った。特に、常磁性状態のフェルミ面の形状は最近観測された角度分解光電子分光と比較でき、体積の違いを除き定性的に説明できることがわかった。動的平均場理論による電子構造の変化はこの系については小さく、定量的な研究を行うためには波数依存性を考慮した電子相関が重要であることが認識できた。
|
Research Products
(4 results)