2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540378
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
立岩 尚之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (50346821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 悦嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (50343934)
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Keywords | ウラン系化合物 / 強磁性超伝導 / 高圧研究 |
Research Abstract |
1.強磁性超伝導物質UGe_2の高圧下磁化測定を行った。昨年度開発したセラミックアンビルを使用して5GPaまで磁化の温度・磁場依存を精密に測定した。UGe_2は常圧ではT_C=54Kの強磁性物質である。1.0-1.6GPaで強磁性超伝導が出現し、臨界圧力1.6GPaで両秩序状態が消滅する。高圧側の常磁性領域では、磁化率は上に凸の温度依存を示し、T_<max>=27K近辺にブロードな極大が形成されることを確認した。これは強磁性が消滅しても、強いスピンの揺らぎの存在と、その縦のモード間の結合を示唆する。さらに、T_<max>の圧力依存を調べた。4GPa以上で、磁化率の上に凸の温度依存は消滅し、その振舞は通常金属のそれへと変化した。現在、スピンの揺らぎ理論を用いた解析を行っている。UGe_2の温度磁場-圧力の三元相図における量子臨界性について理解できるものと思われる、 2.セラミックアンビルセルの到達最高圧力は7.5GPaである。強磁性超伝導物質URhGeの超伝導臨界圧力8GPa近辺の測定は不可能である。より高い圧力の発生を目標としてセルの改良を行った。その結果、12.6qPaまでの超高圧下磁化測定が可能になった。 3.URu_2Si_2の「隠れた秩序」状態の異常な電子散乱の存在を昨年度明らかにした。本年度はより詳細に研究を進め、精密な高圧下電気抵抗測定を行った。電気抵抗の温度依存をρ=ρ0+α_1T+α_2T^2という式で解析した。電気伝導を正常散乱の寄与と異常散乱のそれを分離することを意図した。解析の結果、超伝導転移温度T_<sc>は電気抵抗の異常成分α_1T7の係数α_1と比例関係にあることが明らかにされた。これは、「隠れた秩序」における異常な電子散乱が超伝導を引き起こしていることを意味し、その起源解明に重要な指針を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウラン強磁性超伝導の研究分野では、高圧下磁化測定の報告例が少ない。高圧下磁化測定セルの開発が遅れており、ウラン系強磁性超伝導の理解の妨げとなっていた。私達は平成22年度に世界的にも報告例が少ない高圧下測定用セラミックアンビルセルの開発に成功し、ウラン系強磁性超伝導物質の研究に新たな展開を生じさせることが可能になった。平成23年度から、UGe_2の研究を開始し興味深いデータが得られ始めた。現在、理論解析とより詳細な測定が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、開発したセラミックアンビルセルを他の物質にも適用してウラン系強磁性超伝導物質の研究を進めてゆく。特に強磁性状態をスピンの揺らぎ理論から解析を行い、スピンの揺らぎ特性温度等強磁性状態についての情報を詳細に調べ、それら圧力依存と超伝導の出現・消滅の対応関係を明らかにする。強磁性超伝導の出現条件について、強磁性状態の観点から明らかにしてゆく。特に、電子状態の量子臨界性の観点から、ウラン系強磁性超伝導の理解に重要な視座が得られることが期待される。また、温度-圧力-磁場の三元相図に於ける超伝導相を確定するために高圧下比熱測定なども計画する。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Magnetic-Field-Induced Metallic State in β-US_22011
Author(s)
Kiyohiro Sugiyama, Yusuke Hirose, Kentaro Enoki, Shugo Ikeda, Etsuji Yamamoto, Naoyuki Tateiwa, Yoshinori Haga Takanori Kida, Masayuki Hagiwara, Koichi Kindo Fuminori Honda, Rikio Settai, Yoshichika Onuki
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Journal Title
J.Phys.Soc.Jpn.Suppl.
Volume: 80
Pages: "SA104-1"-"SA104-3"
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] URu_2Si_2の輸送特性と試料依存性2011
Author(s)
松田達磨, Hassinger Elena, 青木大, Taufour Valentin, Flouquet Jacques, 立岩尚之, 山本悦嗣, 芳賀芳範, 大貫惇睦, Fisk Zachary
Organizer
日本物理学会2011年秋季大会
Place of Presentation
富山大学五福キャンパス(富山市、富山県)
Year and Date
2011-09-23
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