2010 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系の量子シミュレーションによる高温超伝導機構の研究
Project/Area Number |
22540381
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柳澤 孝 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (90344217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 泉 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (00357774)
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Keywords | 強相関電子系 / 計算物理 |
Research Abstract |
高温超伝導機構研究のために、電子機構超伝導のモデルとして二次元の多体電子モデルを考察し、その基底状態を数値計算の手法を用いて研究した。今年度は主として以下の研究を行った。 (1)二次元ハバードモデルに対する量子モンテカルロ法のプログラムを並列化し、超伝導などの相関関数の計算効率を飛躍的に向上させた。 (2)量子モンテカルロ法により、超伝導対相関関数の和である対感受率の計算を行った。超伝導や磁化の感受率の計算は通常は有限温度を扱う手法で計算されているが、絶対零度での計算アルゴリズムを開発し、それに基づいて超伝導の対感受率を計算した。バンドパラメーターを変えて調べたところ、ある領域のパラメーターに対しては、対感受率がシステムのサイズに比例して増大することかわかった。これは、コスタリッツ-サウレス転移とコンシステントであり、パラメーターのある領域では超伝導相が存在することを示している。 (3)超伝導凝縮エネルギーの物質パラメーター依存性を明らかにするための量子変分モンテカルロ計算を行った。La系、YBCO系、Hg系の銅酸化物高温超伝導体に対応するバンドパラメーターに対して、モンテカルロ法により超伝導凝縮エネルギーを計算した。単純なフェルミ面の構造からは、Tcの低いLa系のモデルの方がむしろ大きな超伝導凝縮エネルギーが得られることがわかった。これに関しては、各種のパラメーターを変えて調べることにより検討する予定である。 (4)鉄系超伝導体等の多バンド超伝導体に対する第一原理計算、理論計算を行った。鉄ヒ素がなす四面体構造に歪みを加えることにより、状態密度がどのように変化するかを明らかにした。化合物によっては四面体を歪めることにより状態密度が上昇し、超伝導臨界温度が上がる可能性があることを示した。
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