2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540383
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 昌利 東京大学, 物性研究所, 助教 (30313117)
|
Keywords | トポロジカル超伝導 / マヨラナフェルミオン / 空間反転対称性の破れ |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に従って、以下の研究を行った。 まず、スピン3重項超伝導のトポロジカルな性質を詳しく調べ、時間反転対称性がない場合や、超伝導ギャップにノードがある場合であっても、フェルミ麺のトポロジーによって、表面に現れるアンドレーフ束縛状態の性質が決まることを明らかにした。このような性質は、スピン1重項超伝導体では見られないため、スピン3重項超伝導状態を同定する新しい方法を与えるものとして期待できる。また、空間反転対称性の破れの効果により、どのような新奇なトポロジカルな相が可能であるかも調べた。スピン軌道相互作用とゼーマン磁場を考慮することにより、スピン1重項超伝導やノードのある超伝導状態であっても、非可換トポロジカル状態が実現可能であることを明らかにした。これは、通常のs波超伝導状態や、高温超伝導体のd波超伝導状態を用いてトポロジカル量子計算を実現する新しい可能を指摘したものとして、注目を集めている。また、時間反転対称性を破らない系においても、空間反転対称性の破れと強い電子相関により、平坦な分散をもつ特異なマヨラナ型エッジ状態が生じうることを明らかにした。さらに、ギャップ関数の符号反転によるアンドレーフ束縛状態の判定法を、バルク・エッジ対応を用いて説明した。また、バルク・エッジ対応の一般的証明を与え、フラットな分散を持つアンドレーフ束縛状態の判定法が一般に指数定数の形にかけることを見出した。
|