2011 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理分子動力学シミュレーションによる液体の圧力誘起構造変化の研究
Project/Area Number |
22540389
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星野 公三 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (30134951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗尻 修治 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (90353119)
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Keywords | 液体金属 / 圧力誘起構造変化 / 第一原理シミュレーション / 分子動力学法 / ナトリウム / スズ / アモルファス氷 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一原理分子動力学シミュレーションにより、高温・超高圧下における種々の液体の圧力誘起構造変化を、電子状態の圧力変化にもとづいて、理論的に解明することである。 [1]液体ナトリウムにおける圧力誘起構造変化 本年度は、液体ナトリウムの融解曲線が、第一原理分子動力学シミュレーションで用いるシミュレーションセルのサイズに依存することを調べた結果を論文にまとめて公表した。この研究により、超高圧下ではナトリウムの3s電子のみを価電子とするモデルでは不十分であり、2p3s電子を価電子とするモデルを用いる必要があること、また、シミュレーションでは少なくとも200個以上の原子系を扱う必要があることを明らかにした。 [2]液体スズにおける動的構造と横波の可視化 本年度は、液体スズの動的構造を第一原理および古典的分子動力学シミュレーションにより調べた。特に、液体スズの縦波および横波の分散関係を求めるとともに、縦波と横波を実空間で可視化する新しい方法を提案した。また、横波と縦波が動的構造とどのように関係しているかを詳細に調べた。 [3]アモルファス氷における圧力誘起構造変化 本年度は、分子シミュレーションにより調べたアモルファス氷の構造の圧力依存性、特に、圧力増加にともなう低密度アモルファス(LDA)、高密度アモルファス(HDA)、超高密度アモルファス(VHDA)氷の構造変化が、密度のとびをともなうことを示した。この結果を第8回液体物質国際会議(ウィーン)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、液体ナトリウムの構造の圧力依存性、特に融解曲線の融点極大現象の電子論的起源についてはほぼ計画を遂行し、国内外の学会での発表、論文の発表も行った。液体スズについては、動的構造の圧力依存性のシミュレーション結果の解析もほぼ終わり、国内外の学会発表も行い、現在論文を執筆中である。アモルファス氷の圧力誘起構造変化についてもシミュレーション結果を国内外の学会で発表し、論文も発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度が本研究プロジェクトの最終年度であるので、研究計画にしたがって、液体カルシウムにおける圧力誘起構造変化について、第一原理分子動力学シミュレーションにより調べる。具体的には、液体カルシウムの構造および電子状態の圧力依存性を調べるとともに、融解曲線の圧力依存性をシミュレーションにより求める。さらに、これらの結果にもとづいて、固体カルシウムにおける特異な圧力誘起構造相転移との関連を調べる。
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[Presentation] Transverse excitations in liquid Sn2011
Author(s)
S.Hosokawa, S.Munejiri, M.Inui, Y.Kajihara, W-C Pilgrim, Y.Ohmasa, A.Q.R.Baron, F.Shimojo, K.Hoshino
Organizer
8^<th> International Conference on Liquid Matter
Place of Presentation
Wien, Austria
Year and Date
2011-09-09
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