2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540391
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西森 拓 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50237749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 聡 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50217741)
粟津 暁紀 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00448234)
末松 信彦 明治大学, 先端数理科学研究科, 特任講師 (80542274)
秋野 順治 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 准教授 (40414875)
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Keywords | 非一様ノイズ / 確率共鳴 / 生物対流 / 砂丘のダイナミクス |
Research Abstract |
--1.微小生物の集団運動-- 個々のミドリムシは、正と負の走光性を示し最適な強度の光の下に移動することで、効率的に光合成を行う。また、集団のミドリムシを適当なサイズの容器の中に封入し、下方から最適な強度を上回る光を照射すると、いわゆる「生物対流」が発生する。今回の研究では、ミドリムシによる生物対流が、すでに詳しく研究されている(ゾウリムシなど)他の微生物の生物対流に対して際立った特徴、すなわち「対流の局在性」を持つことを、実験に示し、また、局在対流の発生機構を可能な限り単純な理論で説明するための数理模型の提案を行った。これらの結果のうち初期段階のものは、業績欄に記したように論文として出版された。 --2.非一様ノイズの下での効果的確率共鳴現象-- 前年度に引き続き、素子毎に独立の振幅のノイズを付加した場合の2素子系の確率共鳴現象について調べた。本年度は、興奮場のモデルであるFitzHhugh-Nagumo素子を2つ結合した場合を数値的に考察し、結合強度が一定の範囲内にあり、かつ、一素子に強いノイズ、多素子に非常に弱いノイズを付加することで、共鳴度の高い確率共鳴現象が発生することを見いだした。また。簡単な解析でその機構を説明した。これらの結果は、業績欄に記したように論文として出版された。 -3.砂丘の多様な形状形成のダイナミクス-- 砂丘は、上空を吹く風の強さや方向のゆらぎ各砂漠地帯の砂層の厚みによって、形状が異なってくることが知られている。ただし、これらをシステマティックに記述する解析的な手法は限られている。今回は、一方向の風が吹くもとでの砂丘の形状を記述する新しい数理模型を提案し、砂量などに応じて、砂丘が直線的なものから屈曲するものに変化する機構を解析的に描くことに成功した。その結果は、国際会議や、論文として発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題である、集団運動やゆらぎに関する新しい研究成果が順調に出ており、これらの結果が、論文などの出版物、国際会議での講演として発信されている。この状況を持続することで、来年度で終わる研究目的が達成される見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を基に、個別のシステムに対する研究を総括する。特に、様々な集団運動(採餌アリ、樟脳ボート系、ミドリムシ対流)において、外界の変動や構成要素の多様性が果たす役割に注目し、その背後にある機構を考察する。同時に、個別の系を越えて、複雑で非定常な運動をともなう実験から再現性・定量性のあるデータを採取し分析する手法や、数理模型と実験・観察データとの連携の方法論を提案する。
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Research Products
(6 results)