2010 Fiscal Year Annual Research Report
非対角有効場を用いた第一原理非局所電子相関理論の構築と準二次元鉄系化合物への応用
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22540395
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
梯 祥郎 国立大学法人琉球大学, 理学部, 教授 (10191975)
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Keywords | 非対角有効場 / 非局所電子相関 / 第1原理動的CPA / 励起スペクトル / ハバードモデル / XPS / 分子動力学 |
Research Abstract |
研究実施計画段階では,すぐに第1原理非局所理論の構築と計算に入る予定であったが,その前に,(1)非対角有効場を用いた自己無撞着射影演算子法(SCPM)の定量性,(2)有限温度において出発点となる動的CPAの定量性についてのより詳しい解析が必要であると判断したので,平成22年度については,これらの方向の研究を継続して行った.まず,非局所SCPMの定量性については,理論をハーフフィルド3DHubbardモデルに適用して,この理論が弱相関領域から強相関領域までほぼ定量的に記述できることを明らかにした(J.Phys.Conf Series2010).有限温度(T>0)では,解析的な調和近似動的CPAを無限次元ベーテ格子上のHubbardモデルに適用し,その結果をモンテカルロ法と比較することにより定量性を明らかにした(日本物理学会'10).さらに,第1原理動的CPAの定量性を調べるために,ScからCuまでの励起スペクトル(Feを含む)を計算し,高温側では,それらのXPS-BISデータを定量的に記述できることを確かめた(PRB'10).ただし,低温側で定量的な結果を得るためには高次の振動数項を取り入れる必要がある.その他,有限温度での長距離相関を取り入れる方向の分子動力学的研究は静的近似の範囲でプログラムを作成し,計算可能な段階まで整備した(内田氏との共同研究:日本物理学会'11).また,基底状態の長距離相関を変分法の立場から取り入れるもうひとつの方法として運動量依存変分パラメタを含むGutzwiller型変分理論を発展させた(日本物理学会'10).
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