2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540396
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 篤司 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (20323264)
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Keywords | 量子物理 / 新奇な量子ホロノミー / 例外点 / 量子情報 / 全のアンホロノミー / Flouet / 量子写像 / 断熱量子計算 |
Research Abstract |
固有値や固有空間の新奇な量子ホロノミー(全のアンホロノミーとも呼ばれる)とは、量子系の固有値や固有空間が、パラメータに対して多価性を帯びる現象のことである。本研究の目的は、新奇なホロノミーの物理学における意義を明らかにすることであるが、本年度の成果として以下を得た。 (1)Aharonov-Bohmの輪における非断熱的なアンホロノミー:一次元の輪の上の拘束された荷電粒子のエネルギースペクトルは、輪を貫く磁束に対して周期性を持つことは良く知られている。しかし、固有空間は磁揚のゲージに強く依存するため、スペクトルの周期性と新奇な量子ホロノミーとの関係は不明であった。これに対して、固有値と固有空間のアンホロノミー達の対応におけるゲージ依存性を丁寧に解析することで、Aharonov-Bohmの輪に内在する新奇な量子ホロノミーの存在を疑義の無いものにした。同時に、この系は、非断熱的な設定での新奇な量子ホロノミーの最初の例でもある。 (2)多qubit系での例の構築と解析:新奇な量子ホロノミーを示す系として、階数1の摂動を受ける量子写像が知られていた。その中でも特別なクラスの量子写像では、系を"因数分解"し、多qubit上の量子回路として実装できることを示した。さらに、既存の量子写像に還元されないような、新奇な量子ホロノミーを示す量子回路を構成した。 この結果は、多体系での新奇な量子ホロノミーの研究の第一歩である。
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