2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540398
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松川 宏 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20192750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 道夫 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30456751)
川口 高明 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (10273913)
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Keywords | 摩擦 / トライボロジー / 弾性体 / 粉体 / 地震 |
Research Abstract |
1.介在物のある摩擦の研究 2つの物質間に、潤滑剤などの介在物がある場合の摩擦はナノからマクロまで様々なスケールの舞台で現れ、スティック・スリップ現象など多様な振るまいを示す。地震は断層が起こすスリップであり摩擦現象のひとつであるが、断層にガウジと呼ばれる岩くずがあることが知られており、介在物のある摩擦系の一例となっている。この介在物を含む系の摩擦については既に多くの研究があるが、そのスリップの頻度分布については、地震の場合のように冪乗則に従う場合と、そうでない場合が報告されており、そのような違いの原因は明かではない。これらの問題を解明するため以下の研究を行った。 (1)粉体摩擦の実験的研究 介在物を含んだ摩擦現象のある側面は、固体表面間に粉体を挟んだ系でモデル化することが可能である。アルミナボールを粉体としてもちいる実験を進めた。そして、スリップのサイズ分布が、大きなスリップ領域、小さなスリップ領域で異なる冪をもつ、冪分布に従う事を明らかにした。 (2)理論的数値的研究 粉体の挙動を扱うモデルとして離散要素法モデルがある。このモデルによる大規模計算機実験により、粉体のレオロジー特性とスティック・スリップ運動との関係の解明をはかった。 2.マクロ摩擦の理論的数値的研究 局所的にはアモントンの法則に従う摩擦を持つ弾性体ブロックの挙動を有限要素法により調べ、ブロック全体としては、アモントンの法則が破れ、摩擦係数は圧力、およびブロックの長さとともに減少することを示した。これは、ブロックの最大静摩擦力以下の外力下において前駆現象として現れる局所滑りによって引き起こされる。一次元有効モデルに基づく解析で、このアモントンの法則の破れの機構を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介在物のある摩擦の実験、数値計算は一部、当初目的より遅れている点もある。しかし、マクロ摩擦の理論的数値的研究においては、弾性体ブロックの摩擦挙動の研究によって、従来考えられていなかった新たな機構により、アモントンの法則が破れることを明らかにできた。これはあらたな摩擦制御技術の創成につながる可能性がある。研究の目的全体としては、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
介在物のある摩擦の実験においては、回転型の新しい装置を用いた実験を進め、そのスリップのサイズ分布、時間間隔分布などのパラメーター依存性を明らかにしていきたい。数値計算のモデルについては3次元化を図る。マクロ摩擦の理論的数値的研究においては、さらに広くパラメーター依存性を調べ、実験との定量的比較を行っていく。併せて、各々の真実接触点の自由度まで考慮したモデルの研究も進めていく。
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Research Products
(4 results)