2012 Fiscal Year Annual Research Report
自由エネルギーランドスケープ理論を用いたガラス転移現象の解明
Project/Area Number |
22540400
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小田垣 孝 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90214147)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 非平衡系 / 統計力学 / 自由エンルギーランドスケープ / 密度汎関数理論 / ガラス転移 / 温度変調応答 / 協調緩和領域 / 初到達時間 |
Research Abstract |
これまでの研究から、原子の仮想的配置の関数として原子の速い運動から決定される自由エネルギー(自由エネルギーランドスケープ(FEL)とよぶ)から、非平衡系の動的性質及び熱力学的性質が統一的に理解できることを示した。今年度は、その理論の妥当性を検証し、さらに今後の研究に発展させるために以下の研究を行った。(1)温度変調に対するさまざまな性質の応答を統計力学の原理に基づいて考察するために、モデル系に対してδ関数型温度変調に対する応答関数と、時間を変えて温度ジャンプを与えた系の緩和関数の差を求め、それらがほぼ等しいことを示し、温度変調に対する応答が近似的に線形応答として記述できることを示した。また、FEL描像に基づくダイナミックスに対する温度変調を扱う準備として、ジャンプ率に時間変動する摂動が加わった系の解析を行う方法を確立した。ガラス転移を示すトラップ型モデルの中間散乱関数、感受率等の解析は、現在進行中である。(2)ガラス形成モデルとして受け入れられているトラップ型モデルに対する、繰り込み変換の方法を開発できた。繰り込み変換を繰り返し行い、その変換の固定点から転移点を決定する方法の開発は今後の課題として残った。(3)密度汎関数法を用いて3次元Lennard-Jones-Gauss(LJG)系の相図をパラメーターの広い領域で決定した。LJG系のガラス形成能とポテンシャルの形状との関係は、今後精査する。(4)結晶化することによって機能を失うあるいは病毒性を示す生体物質への応用を視野にいれ、FEL描像から過冷却液体の結晶化を理解するための基礎的情報を得るために、複雑ネットワーク上のランダムウォーカーの初到達時間分布を効率よく求める方法を開発した。(5)剛体球系の過冷却状態の協調緩和領域を密度汎関数理論から用いて求め、緩和時間と緩和領域内の構造との関係を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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