2010 Fiscal Year Annual Research Report
緩和のない原子運動制御法の開発と原子波動光学への応用
Project/Area Number |
22540408
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
清水 富士夫 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 研究員 (00011156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森永 実 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教 (60230140)
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Keywords | 原子・分子 / アトムチップ / 原子光学 / レーザー冷却 / 超伝導 / ネオジミウム |
Research Abstract |
レーザー冷却と基板上に形成した電流回路が発生する磁場を用いて中性原子を冷却、トラップする原子チップ技術はレーザー冷却物理の研究に大きな役割を果たしてきた。しかし、電流を担う室温電導体に起因する雑音のために、今まで研究上種々の制約があった。我々は超伝導閉回路を用いた原子チップを用いることで、従来の方法では得られない高精度で緩和の少ない中性原子のガイド、トラップを作り、新しい原子の巨視的量子現象や原子干渉計などの原子の波動性を利用した計測手段の研究を行い、また、原子チップ上での原子運動の解析を通して、第2種超伝導薄膜の磁気的物理現象の解明を行うことを目的として研究を進めてきた。 22年度は、レーザー冷却に用いるレーザーの故障、すでに所持していたヘリウムデュワーの不具合など不慮の事態が生じたため、その対応のために大部分の時間を取られることとなった。Ndの超伝導転移温度は9.2Kであるので原子チップ上の回路を超伝導状態まで冷却することは容易であるが、 dendritic instabilityなど超伝導研究上興味があり、原子チップの動作に重要な影響を与える現象を研究するためには5K以下まで冷却する必要がある。従来のデュワーでは冷却原子観測に必要な光学アクセスを確保してこの温度を保つことが出来ないことが判明し、全く新しく設計しなおし、製作した。(研究費の大部分はこれに当てることとなった。)新しいデュワーは4K以下まで冷却、かつ温度制御が可能であることが確認され、テスト用のNd原子チップを用いて性能評価を行った。
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