2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540411
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
光永 正治 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (90332882)
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Keywords | 電磁誘導透過 / パラメトリック増幅 / 誘導ラマン散乱 / 4光波混合 / 飽和吸収 / マッチトパルス / 超低速伝搬 / 相関光子対 |
Research Abstract |
ナトリウム原子のラムダ型3準位系とラダー型3準位系を用いて、電磁誘導透過に代表される量子干渉効果の挙動を解析した。ラムダ型3準位系としては、3S1/2 F=1→3P1/2 F=1(2)→3S1/2 F=2準位を用い、前年度に確立した4準位系Liouville方程式より、数値解析を行い、電磁誘導透過及びパラメトリック増幅の振る舞いを、カプリング光周波数、カプリング光強度、原子密度、位相緩和速度、等のパラメーターを変化させることで、詳しく解析した。また、ラダー型3準位系においては、3S1/2 F=1(2)→3P1/2→4D3/2準位あるいは3S1/2 F=1(2)→3P3/2→4D3/2,5/2準位を用いて、上遷移にカプリング光、下遷移にプローブ光を用いることで、ラダー型EITの実験を行った。ラムダ型3準位系の場合、あるカプリング周波数にすると、EIT信号がほとんど消失し、しかもその小さな信号が2つの線に分裂するという奇妙な現象を観測したが、これは、量子力学的な2つの素過程の干渉効果であるという説明で極めてうまく説明することができた。理論とシミュレーションと実験は良い一致をみた。ラダー型3準位系においては、カプリング光の存在のもとに観測されるプローブ光の光誘起偏光回転の問題をとりあげ、最大18度の偏光回転角度を観測した。また、偏光回転のプローブ周波数依存性は、円偏光2色性のスペクトルとクラマース・クローニッヒの関係になっている事を実験的に確かめた。さらに、カプリング光をパルスにすることで、プローブ光もオンオフされる、いわゆる光スイッチの実験も行い、100ナノ秒を下回る応答速度を観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マッチトパルス、あるいはパラメトリック増幅過程の理論的検証に関しては、4準位系の理論でほぼ説明できるようになった。しかしながら、マッチトパルスの伝搬の挙動に関しては、特に実験面においてまだ解析が進んでいない。遅れ時間や増幅率の、種々のパラメーター依存性の詳細な、かつシステマティックな解析が必要になる。
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Strategy for Future Research Activity |
ラムダ型とラダー型の場合でのパルス伝搬の様子をさらにシステマティックに解析する。また、2つのビームの交差角度による信号の振る舞い、位相整合の問題等も理論的な検討が必要になる。カプリング光の横方向強度依存性も考慮し、ガウシアンビームの場合のセルフフォーカシングの問題等も理論、実験の課題とする。カプリング光とプローブ光として、2台の独立なレーザーを用いるか、あるいは1台のレーザーを音響光学変調器により周波数シフトをさせるかで、信号の振る舞いに違いがないか、チェックする。また、信号強度、遅れ時間にバッファーガスの影響があるかどうかも確かめる必要がある。バッファーガス圧力の違う試料を数個用意し、信号のバッファーガス依存性を調査する。
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Research Products
(7 results)