2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540415
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
保坂 一元 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究室付 (50462859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲場 肇 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (70356492)
渡部 謙一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50358389)
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Keywords | 光共振器 / 熱雑音 / 光格子時計 |
Research Abstract |
本研究では、光格子時計における時計遷移励起用レーザーの線幅狭窄化実証のため、熱雑音の極めて少ない新型光共振器を用いた超安定化レーザーを開発する。目標とする周波数安定度は平均時間1秒において10^-17台で、世界最高の周波数安定度の達成を目指す。これまで超高フィネス光共振器のスペーサー材料として用いられてきたULEガラスに代わる新しい材料として、セラミックに着目し準備を行ってきた。セラミックは、ULE等のガラス材料と比較して硬く、振動加速度を受けても変形しにくいために、共振器長の長い光共振器を作るのに有利である。平成23年度は、低熱膨張セラミックをスペーサーとして用いた光共振器(共振器長75mm、鏡の基材ULEガラス)を開発し、Nd:YAGレーザー(1064nm)をこの光共振器に安定化することにより、光共振器の特性を評価した。また、この光共振器の特徴を光学的手法を用いて評価するために、長時間にわたる光周波数測定を可能にする光周波数コム等の測定システムを開発した。このセラミックを用いた光共振器においては、熱膨張係数が0を横切る温度は室温以下であり、なおかつ、熱膨張係数の温度変化に対する傾きはULEガラスと比較して、数倍であることが明らかになった。低熱膨張セラミックの熱的特徴は、ULEガラスのそれと比較してやや劣る傾向があるものの、高精度な温度調整システムを用いることで、目的とする共振器長の長い光共振器を作成することが十分に可能であると考えられる。今回、用いた温度調整システムは、簡易的なものであったが、このシステムを改善し、また、鏡の基材として機械的Q値の高い溶融石英を用いることで、熱雑音を大きく軽減できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は新しい材料を用いた光共振器を開発し、その熱的特徴を光学的手法を用いて評価した。この新しい材料を使用することは、計画立案時点では想定されていなかったが、低熱雑音光共振器を作る上で有望な材料であることが分かった。この材料を光共振器に用いることで、目的としている安定度が達成される可能性は高い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、セラミックを用いた光共振器の特徴を更に詳しく評価する。振動の影響を受けにくい共振器長の長い光共振器を設計し、また、この光共振器の為の温度調整システムを開発する。
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