2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模分子シミュレーションによる直鎖アルカン薄膜の表面融解・表面固化機構の解明
Project/Area Number |
22540419
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 進 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30280598)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 表面・界面物性 / 計算物理 / 可視化 |
Research Abstract |
直鎖アルカンは、バルク融点より数度高い温度域で分子鎖が表面に対して垂直に単分子膜を形成するという、かなり特異的な現象を示すことが知られている。この現象は、低分子系における表面融解と対照的な現象で、表面固化現象と呼ばれており、炭素数が15程度から50の間でのみ観察される。本研究では、直鎖アルカン薄膜の表面融解・表面固化機構を系統的に解明するため、直鎖アルカン超薄膜の分子動力学(MD)シミュレーションを行い、融解過程に対する鎖長の影響を調べる。直鎖アルカンの分子モデルとして、ユナイティッド・アトムモデルを採用する。粒子間の相互作用は、共有結合によるものと非共有結合によるものに分けられる。共有結合ポテンシャルとして、伸縮ポテンシャル、変角ポテンシャル、及び、内部回転ポテンシャルを考える。また、非共有結合ポテンシャルとして、レナード-ジョーンズポテンシャルを考える。鎖長の異なる直鎖アルカンとして、n-nonane(C_9H_<20>)とn-nonadecane (C_<19>H_<40>)を用い、温度・圧力一定のMDシミュレーションを行う。初期配置として、一層あたり168分子を3~9層並べた結晶を用意し、MDセルに納める。分子鎖軸方向(膜に対して垂直な方向)に二層分の厚さの真空領域を用意し、周期境界条件を適用する。系の温度を徐々に上げ、融点の特定および融解過程の解析を行う。一次元密度プロファイルや各層における二次元動径分布関数、配向秩序パラメータなどを詳細に解析することにより、n-nonaneの場合は表面から、n-nonadecaneの場合は内部から融解することが明らかになった。このような鎖長の違いによる融解様式の違いは、実験結果と一致している。
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Research Products
(26 results)