2012 Fiscal Year Annual Research Report
大規模分子シミュレーションによる直鎖アルカン薄膜の表面融解・表面固化機構の解明
Project/Area Number |
22540419
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 進 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30280598)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / 表面・界面物性 / 計算物理 / 可視化 |
Research Abstract |
直鎖アルカンは、バルク融点より数度高い温度域で、分子鎖が表面に対して垂直に単分子膜を形成するという特異な現象を示すことが知られている。この現象は、低分子系における表面融解と対照的な現象で、表面固化現象と呼ばれている。昨年度に引き続き、本年度も、直鎖アルカン薄膜の表面融解・表面固化機構を系統的に解明するため、自由表面を持つ直鎖アルカン超薄膜の分子動力学(MD)シミュレーションを行い、融解過程に対する鎖長の影響を調べた。直鎖アルカンの分子モデルとして、ユナイティッド・アトムモデルを採用する。粒子間の相互作用は、共有結合によるものと非共有結合によるものに分けられる。共有結合ポテンシャルとして、伸縮ポテンシャル、変角ポテンシャル、及び、内部回転ポテンシャルを考える。非共有結合ポテンシャルとして、レナード-ジョーンズポテンシャルを考える。鎖長の異なる直鎖アルカンとして、n-ノナンとn-ノナデカンを用い、温度・圧力一定のMDシミュレーションを行った。初期配置として、一層あたり168分子を3~9層並べた結晶を用意し、MDセルに納めた。分子鎖軸方向(膜に対して垂直な方向)に二層分の厚さの真空領域を用意し、周期境界条件を適用した。系の温度を徐々に上げ、直鎖アルカン薄膜の融解過程の解析を行った。その結果、n-ノナンでは表面融解が起こるのに対して、n-ノナデカンでは内部から融解し、表面固化状態が実現することが明らかになった。また、この表面固化状態では、分子鎖のトランス配座の割合が高くパッキングが密な表面層を持ち、内部層が融解することにより系全体が安定化したことが分かった。現在、水中における直鎖アルカン薄膜のMDシミュレーションを行い、自由表面の場合との比較検討を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(22 results)