2010 Fiscal Year Annual Research Report
固形粉体の破壊モルフォロジー転移とスローダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
22540425
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Research Institution | Kanagawa Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
津留崎 恭一 神奈川県産業技術センター, 化学技術部, 研究員 (90426388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白崎 良演 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90251751)
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Keywords | 固形粉体 / 粒度分布 / ガラス転移 / ジャミング転移 / 交通渋 |
Research Abstract |
本研究課題では,固形粉体に外力を加えて破壊したときに生じる破壊断面のモルフォロジー変化と粉体系の示す転移との関係を調べている。これまでの研究で,粉体の付着力を一定にして粒径分布幅を増やしたとき,破壊パターンが亀裂から粉砕に変化し,さらにこの変化がガラス転移の様相をみせることが明らかになった。 平成22年度は,粉体系が示すジャミング転移との関係を調べた。ジャミング転移とは,閉じた空間に粉体を詰めたときに,ある密度点で運動性が急速に落ちる現象である。我々は,付着性粉体の詰まり方と破壊パターンとの間に関係があるのかを考えた。 これまでのジャミング転移の研究により,ジャミング点付近では粉体(粒子同士の重なり許さない)の密度と平均粒子接触数との間にスケーリング則が成り立ち,そこに表れる指数は普遍的であることが知られている。我々は,付着性粉体(付着力パラメタに応じて多少の重なりを許す)の詰まり方は,粉体とは大きく異なり指数も付着力パラメタに依存することが分かった。但し,スケーリングパラメタとして重なり具合で規格化した最小接触数を用いると,付着力が異なってもほぼ同じ曲線上(マスターカーブ)に乗る。また,付着力パラメターによらず粉体の接触数と規格化された最小接触数の差がほぼ1以下の時に破壊パターンが粉砕,1以上で亀裂となることが分かった。 これらの知見を基に,詰まった粉体を交通渋滞に見立たモデルを使って,自由走行相から渋滞相へ転移するときの振る舞いを詳細に調べた。車の密度を増やして渋滞を起こしたときと,逆に渋滞から密度を減らしたときでは車両密度と流量との関係(基本図)が異なり,ヒステリシスが表れることが分かった。
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