2010 Fiscal Year Annual Research Report
月および小型惑星のマントルオーバーターンの理論的数値的研究
Project/Area Number |
22540427
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
倉本 圭 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50311519)
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Keywords | 月 / 水星 / 火星 / マントルオーバーターン / 二分性 / 火成活動 / ダイナモ / 化学成層 |
Research Abstract |
月,水星,および火星を対象に,惑星形成直後に発生が予想されるマントルオーバーターン現象について,各天体の置かれた物質科学的・力学的境界条件の違いを考慮して,理論的・数値的に解析する.本研究の最大の特徴は,各天体の物質科学的・力学的境界条件の違いを,マントルオーバーターンの結果形成されると考えられる惑星表層・内部の大規模水平不均質性へのインパクトに関連づけて検討する点にある,各天体の重力・地形・表面組成・磁場等の新しい探査データの統合的な解釈に貢献することを目的とする.平成22年度は水星および月について以下の通り研究を進めた. (1)水星:マントルオーバーターンをシミュレートする数値モデルの開発を進め,熱浮力のみを考慮した状況下で軸対称2次元流体力学計算を行うことに成功した.現在この計算結果の一部を境界条件として用いた水星核ダイナモの数値計算に着手し,また,組成の違いによる化学的浮力を組み込むことの可能な3次元モデルへ改良しつつある. (2)月:初期化学的成層の形成モデルについて先行研究の見直しを行い,化学成層形成の各段階について理論的な解析を進めた.その結果,月の表裏の組成的な二分性を説明するために有望視されている長波長マントルオーバーターンの発生条件が,海の火成活動開始の遅延に適合するオーバーターン直後のマントル化学成層の強さと必ずしも調和しないことが分かった.現在,理論と月の地質記録の双方についてさらに見直しを進めている.
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