2011 Fiscal Year Annual Research Report
媒質境界と相互作用する地震の動的破壊機構の理論的研究:XBIEMによる新展開
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22540429
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀 伸樹 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90304724)
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Keywords | 亀裂 / 弾性動力学 / 破壊 / 境界積分方程式法 / 地震 |
Research Abstract |
平成22年度に行った破壊計算法XBIEMの新たな定式化において媒質内部の破壊面と媒質境界における境界積分方程式をそれぞれ導出した。それぞれの境界面における境界条件を課すことにより連立積分方程式を得て、これを時空間領域で離散化し、境界面上での解を数値的に求める計算コードの原型を作成した。そして、平面亀裂問題に対して亀裂上での応力および滑りが正しく計算できることを検証した。23年度は、これを非平面形状亀裂の計算に拡張するために必要となる境界面の外側の変形場を計算するコード開発および検証を行った。 まず、亀裂面外側での応力場・変位場・変位速度場のカーネル関数が正しく計算できるかをテストした。検証は、無限媒質のBIEM計算結果と、これと等価な問題を半無限媒質に対するXBIEMを適用して計算した結果を比較することにより行った。その結果、両者は定量的に良い一致を示し、コードに組み込むカーネル関数が境界面外側の場の計算に対しても正しく働くことを確認することができた。 次に、不均質媒質での破壊計算が正しくできるかについてテストを開始した。計算結果が検証可能となる理論解が存在する破壊問題は非常に限定される。その中で、媒質境界において一定速度で成長する半無限亀裂伸展問題における破壊速度の上限解(媒質速度のコントラストの関数)を用いて、これが数値計算で再現できるかのシミュレーション計算を行った。次第に加速する自発的破壊成長において、その速度は媒質速度コントラストから理論的に予測される値に達した後、その上限速度で成長を続けた。これは不均質媒質における破壊計算におけるXBIEMの最初の成功例となった。 導出した離散カーネル関数の解析的表現、および、それを利用した連立境界積分方程式の時間解法のスキームについては、Jornal of Applied Mechanicsに研究成果として投稿し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度実施計画において、「前年度におこなった破壊計算法XBIEMの定式化に基づき、単純なモードIII型の亀裂問題についてプログラムを完成させ、数値計算手法の検証と大規模計算の準備を行う」とした。これに対して、23年度は基本プログラムを完成させ、これを解析解が存在する単純な問題に適応し数値計算手法の検証を行うことができた。また、ここまでの成果を投稿論文に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に数値計算手法の検証を計画通り行うことができた。そこで、今後、開発した新しい手法を用いて初めて可能になる不均質媒質中の自発的破壊成長のシミュレーションを行っていく。媒質を横切る場合、数値計算が不安定になる困難が予想される。これに対して、人口粘性項の導入などにより対処する必要があろう。また、不均質媒質を取り扱う場合、計算に必要となる応力核関数の記憶容量が約四倍必要となる。メモリ量を節約し逐次計算により対処すると計算時間が非現実的になる。記憶容量・計算時間共に効率的なコード作成が必要である。
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