2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧高温実験に基づく"Missing xenon"問題の解明
Project/Area Number |
22540430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 健彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (20126189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 卓 東京大学, 物性研究所, 助教 (90343938)
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Keywords | キセノン / 超高圧 / 金属化 / 欠損 |
Research Abstract |
本研究は、地球のコアに対応する100万気圧を超す超高圧高温条件下で、金属化したキセノン(Xe)が鉄や珪酸塩と化合物や固溶体を作るか否かを実験によって明らかにし、それらの結果をもとに、長年地球科学の分野で未解決の大きな問題として残されている、いわゆる"Missing xenon"問題の解明に寄与することをめざしている。 昨年度は、物性研のわれわれのグループで長年開発を続けその利用技術も確立しているXeガスの液化充填装置とマルチメガバール領域でのX線その場観察実験技術を組み合わせ、SPring-8においてXeと鉄の170GPaまでの高温高圧実験を行った。その結果実験された圧力温度領域内では新化合物は生成せず、固溶も起きていないことが明らかにされ、そこまでの段階の結果をすでに論文にまとめた。そこで今年度はさらに温度領域の拡大に力を注ぎ、鉄が溶融した場合の反応について実験することと、ニッケルは鉄よりXeと反応しやすいという理論的予測があることから、鉄-ニッケル合金との反応についても実験を行おうとしたが、準備したアンビルが加圧中に破壊したため、所期の条件下での実験を行うことはできなかった。また震災の影響で前期のPFマシンタイムが全てキャンセルされ、代わりの実験を遂行することもできなかった。そこでキセノンと鉄だけでなく、鉱物などより多様な物質との反応について研究対象を広げるべく準備と予備的な実験を進めている。これらの結果をふまえて、広い立場からMissing Xenon問題に関しての考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メガバール領域の実験では避けられないアンビルの破壊により、SPring-8の実験で当初予定した条件下での実験が行えなくなり、その後震災の影響でフォトンファクトリー(PF)が半年間停止したため、代わりのシンクロトロン放射光実験も行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
キセノン・鉄系のメガバール領域における基本的なふるまいに関しては、すでに初年度の実験で明らかにできたので、実験対象とする系を拡げ、鉱物なども含めより多様な物質とキセノンの反応関係を明らかにすることにより、Missing Xenon問題に関するより広い視野での考察を進める予定である。
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Research Products
(12 results)