Research Abstract |
本研究計画は,惑星の質量,軌道要素,中心星の光度及び年齢等の条件に対して多数の数値計算を系統的に行うことによって,太陽系外地球型水惑星が取り得る気候モードの条件を明らかにしてその多様性を予測しようとするものである. 本研究計画は,惑星の質量,軌道要素,中心星の光度及び年齢等の条件に対して多数の数値計算を系統的に行うことによって,太陽系外地球型水惑星が取り得る気候モードの条件を明らかにして,その多様性を予測しようとするものである. 平成23年度においては,地球型水惑星環境モデルの改良とそれを用いていくつかのパラメータに関する系統的な感度実験を行った.また,惑星の熱進化にともなう惑星環境の進化モデルの開発を行った. 地球型水惑星環境モデルを用いた感度実験として,初期値依存性(気候の多重安定性),定常状態に至る過程における氷床及び海氷の発達過程,軌道要素(軌道長半径・軌道離心率・自転軸傾斜角)依存性,大陸サイズ及び大陸配置に対する依存性,火成活動による二酸化炭素供給率に対する依存性等のモデルの基本的な挙動特性を系統的かつ詳細に調べた. その結果,軌道離心率及び二酸化炭素供給率一定の条件においては,軌道長半径に従って,暴走温室状態,無凍結状態,季節的部分凍結状態,部分凍結状態,全球凍結状態という気候モード分布が実現されるが,軌道離心率が高いほど,その分布は主星から遠方にまで広がることを明らかにした.これは,気候モードが年平均日射量に支配されるとして説明可能である.また,現在の地球における二酸化炭素供給率条件下では,炭素循環が機能しているにもかかわらず,ハビタブル領域(無凍結~部分凍結)はごく限られるが,二酸化炭素供給率が数倍程度増加すれば,ハビタブル領域は火星軌道付近まで拡大することが明らかになった. 惑星の熱進化モデルについては,すでに開発して惑星環境進化に対する影響を調査しているところであるが,これについては次年度も引き続き系統的かつ詳細な調査・検討を行う予定である.
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