2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540436
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 了 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (30262497)
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Keywords | 地殻・マントル物質 / 地球・惑星内部構造 / 地球内部物性 / 弾性定数 / 共振法 |
Research Abstract |
(1)高温共振法計測システムの構築 平成22年度に構築した共振法測定システムと新たに開発した温度制御システムを組み合わせることにより,温度600^。C以下で共振スペクトルを測定することが可能になった.共振スペクトルから試料の固有周波数を推定し,フォワード計算で求めた固有周波数と比較を行うことにより,試料の弾性定数を決めることができる.温度を変えて測定を行うことにより,各弾性定数の温度依存性を決めることができる. (2)ザクロ石の弾性定数のその温度依存性 (1)のシステムを用いて温度100^。C以下でザクロ石(鉱物)の弾性定数を求めた.天然のザクロ石(Alm80Pyr16Spe4)単結晶を,0.890×0。690×0.440(mm^3)の直方体に整形して測定試料とした.各面はすべて結晶学的方位{100}に垂直であり,その凹凸は1ミクロン以下である.試料の密度は,EPMAにより求めた化学組成とX線回折により求めた格子定数(a=1.154(1)nm)から計算し,4.091(8)×10^3(kg/m^3)を得た,周波数3-11MHzで行った共振法から推定した弾性定数は,常温においてC11=296.0,C12=111.2,C44=94.4(GPa)であり,先行研究とほぼ一致した.温度依存性はC11,C12,C44について,それぞれ,-0.033,-0.014,-0.011(GPa/K)であり,これらも先行研究であるSumino(1978)とほぼ一致し,測定の妥当性が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・地殻鉱物の弾性定数の温度依存性を求めるための共振法測定システムを構築できた. ・実際にザクロ石という鉱物を用いて弾性定数の温度依存性を求めることに成功した. ・試料の固有周波数をフォワードで計算することが可能になり,弾性定数を推定できるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成22,23年度の研究により,"鉱物の弾性定数およびその温度依存性"を求めることが可能になった.スピネル,ガーネットなど弾性的対称性の高い鉱物を用いて手法を確立してきたが,平成23年度は弾性的対称性の低い鉱物に手法を適用していく予定である.また,現在のところ,測定は比較的低温の条件に限られているが,この温度範囲もシステムの上限である600^。Cまで上げていく予定である.
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