2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540449
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉岡 真由美 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00514788)
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Keywords | 惑星大気 / 台風 / 水惑星 / 数値実験 |
Research Abstract |
本研究課題は、全地表面が海面である仮想的な地球である「水惑星」の条件を用いて台風発生と海面水温分布の関係について明らかにすることで、実際に観測される海面水温分布と台風発生の条件および初期の発生過程を解明することを目的とする。特に西太平洋のような海面水温分布を持つ場での台風発生の解明を目的とする。また、水惑星実験を行い、温暖化時の海面水温の影響と台風発生についても解釈を得る 全球大気モデルを用いた水惑星実験について、台風発生の環境条件をGray(1975)の発生パラメタを用い発生条件を定量的に評価した。東西一様なcosine型の海面水温を与えた基準分布の実験に対し、水惑星の台風が発生した赤道上に+3Kの偏在(暖水塊)を与えた実験では、暖水塊の西側低緯度域で発生パラメタが大きな値を示した。この極大値は、西太平洋における観測で得られる値に匹敵した。一方、台風が発生しない、東西一様のまま全球の海面水温を+3Kあげた(理想的な温暖化)実験では発生パラメタが十分大きな値をとらなかった。この結果は、海面水温の全球的な上昇だけでは台風発生に適した環境条件とならないことを定量的に明らかにした。 全球大気モデルを用いた+3Kの暖水塊を与えた実験では、全個数のうち8割の台風が、赤道域西風の強まりと、その西風域がゆっくり東へ伝播する際に twin cyclones として発生した。これは、西太平洋でエルニーニョ期に強い西風(西風バースト)が観測され、西風域が東進する際にみられる twin cyclones と類似することから、東へ伝播する大規模波動でおこる西太平洋における台風発生を説明する。この結果について2012年気象学会秋季大会で報告した。 領域モデルの実験では、台風発生開始から数日間の台風の気圧低下(強化)は、赤道域西風の強まりとともに、台風を構成する積雲対流の変動と重なり進行する過程をとらえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた全球モデル及び領域モデルによる数値実験のうち、すべての実験の実施を完了した。現在までの解析で、本課題の目的としていた、「水惑星」の条件を用いて台風発生と海面水温分布の関係について明らかにした。赤道に暖水塊を持つ水惑星の台風発生と環境条件が、実際に西太平洋で観測される台風発生と海面水温分布とに類似し、また水惑星の台風発生時に観測される赤道域の西風の強まりが、観測される西風バースト発生時と台風発生を説明するという結果を得た。この結果を国内学会(日本気象学会2012年秋季大会)で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた成果を発表するためのまとめを行っている。成果発表として、国際学会での発表と学術論文誌への投稿を計画している。世界的に著名な研究者が参加する国際学会(4th International Summit on Hurricanes and Climate Change, June 13-18, 2013 in Kos, Greece)で報告する(応募済み)。また、査読付き学術論文誌への論文の投稿準備を進めている。 理想化された条件での水惑星の台風に対する数値実験で得られたデータは、今後、投稿論文改定時に検証を求められたり、査読者のさらなる解析を提案される可能性があるため、再度の利用を踏まえたデータの保存と整理を進めている。
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