2010 Fiscal Year Annual Research Report
台風海洋間の多階層渦による相互作用の解明と海洋酸性化に与える影響評価
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22540454
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
和田 章義 気象庁気象研究所, 台風研究部, 主任研究官 (20354475)
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Keywords | 台風 / 波浪 / 炭素系化学平衡 / 摩擦抵抗 / 海洋環境場 / 台風海洋相互作用 / 非静力学大気波浪海洋結合モデル / 海洋大循環モデル |
Research Abstract |
本研究は、観測データや非静力学大気波浪海洋結合モデルを用いて、大気海洋中に見られる様々な時空間スケール(多階層)の渦が台風海洋相互作用に果たす役割を、力学・熱力学的側面から解明し、また台風が海洋物質循環に及ぼす影響を定量的に評価することを目的とする。平成22年度は1)異なる海洋の粗度長の定式化が台風発達に与える影響を評価するため、非静力学大気波浪海洋結合モデルにより台風渦の理想実験の実施、2)海洋物質循環スキームとして炭素系化学平衡スキームの非静力学大気波浪海洋結合モデルへの組み込み着手、3)海面水温変動に対する台風予測のアンサンブル実験、及び4)Saffir-Simpsonスケールでカテゴリー5に到達するような台風事例を中心とした客観解析、現場観測データの収集、等を実施した。1)については、Taylor and Yelland (2001)の波形勾配による粗度長の定式を用いることにより、モデルにより再現された台風の10m風速が40~50ms^<-1>を超えた時に摩擦抵抗係数の増加が抑制されること示した。この摩擦抵抗係数増加の抑制は、粗度長が摩擦速度に依存するJanssen (1989)やSmith et al.(1991)の定式では再現されなかった。一方で理想実験結果から、摩擦抵抗係数が10m風速に依存して大きくなる定式を用いた場合、台風中心気圧がむしろ深まることを確認した。2)炭素系化学平衡スキームの非静力学大気波浪海洋結合モデルへの組み込みについて、Dickson et al.(2007)に基づく炭素系化学平衡スキームを非静力学大気波浪海洋結合モデル及び海洋大循環モデルへ組み込んだ。3)海面水温変動に対する台風強度予測への影響については、積分時間36時間以降にその効果は現われるものの、変動をランダムノイズとして与えた場合でも、同様の効果が見られることを確認した。むしろ海洋環境場の違いは台風の眼の壁雲の外側に形成されるレインバンドの生成に影響を与えていた。4)アルゴフロートデータの収集及び大気海洋再解析データとの比較検証の作業に着手した。
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Research Products
(4 results)