2011 Fiscal Year Annual Research Report
地球放射線帯の相対論的エネルギー電子の加速メカニズムの観測とモデルからの解明
Project/Area Number |
22540458
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長井 嗣信 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60260527)
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Keywords | 放射線帯 / 高エネルギー電子 / 磁気嵐 / サブストーム / 宇宙天気 |
Research Abstract |
人工衛星「あけぼの」搭載の放射線モニターによる地球放射線帯の観測を継続することにより、1989年3月から2012年3月まで、太陽活動周期11年の2倍以上に当たる23年間のデータベースの作成を続けている。このような長期間の放射線帯の高エネルギー電子強度の継続的な観測は、世界でも例のないものとなっている。今まで行ってきた検出器のキャリブレーションについてのGIANT4を使った計算機シミュレーションについて、まとめられるようになった。 高エネルギーの電子チャンネルについては、ほぼ設計に合う粒子検出効率があることを確認した。しかし、低いエネルギーの電子チャンネルについては、粒子検出効率が低いことがわかり、観測結果の解釈に注意することが必要なことがわかった。このことにより、一般のデータユーザーへのデータベースの公開の方針を確立できた。 2008年9月と 2009年7月の磁気嵐により引き起こされた放射線帯外帯の高エネルギー電子フラックスの急激な増加が、Nagai et al. (2006)により提案されたモデル「磁気嵐中の大規模サブストームにともなる磁場変動が作る誘導電場による電子の加速」により説明できるか、計算機実験を行った。「サブストームのような大きな磁場変動ない状態での磁気嵐による大規模対流電場」や「波動による電子加速」だけでは、放射線帯外帯で十分な量の電子の加速が起きないことを示した。磁気圏全体を観測された太陽風を入力としてMHDモデルにより、静止軌道で実際に観測された急激な磁場電場変動のあるなかでの電場磁場の中で電子の輸送加速を計算した場合のみ、放射線外帯の電子のフラックス増加を作り出せることが示された。このことにより、Nagai et al. (2006)により提案されたモデルの有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、人工衛星「あけぼの」による観測を継続し、Nagai et al. (2006)において提唱した「磁気嵐中の大規模サブストームによる電場による電子の直接的加速」について、検証することであった。 観測機器は順調に観測を継続できているうえ、観測機器のキャリブレーションについても、一定の結論を得ることができた。大規模の磁気圏と放射線帯を結合したシミュレーションを行うことにより、大規模サブストームで、十分な量の電子の輸送と加速ができることを示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で行っている人工衛星「あけぼの」による観測を継続するとともに、今年度行ってシミュレーションを行ったような観測レにについて、さらに解析を継続する。
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