2011 Fiscal Year Annual Research Report
巨大噴火の時代変遷-大陸縁から島弧成立への火山活動の変化
Project/Area Number |
22540469
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小室 裕明 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80135897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 淳志 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (60379691)
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Keywords | 火山 / 巨大噴火 / 地質年代 / 白亜紀 |
Research Abstract |
(1)兵庫・岡山県境に位置する作東コールドロンの形成年代を明らかにするため,流紋岩溶岩流から岩石試料のサンプリングを行ない,本学の地球資源環境学教室で稼働している質量分析計によりRb-Srアイソクロン放射年代測定を行なった。結果は,77.3±4.3Maであった。また,コールドロン南縁に貫入している石英閃緑岩の角閃石K-Ar放射年代測定を行なった。測定は,(株)蒜山地質年代学研究所に発注した。その結果は,71.3±3.7Maであった。異なった年代測定法にもかかわらず,これらの年代値は誤差の範囲で一致しており,地質調査結果とも矛盾しないことから,信頼できる値と考えられる。したがって,作東コールドロンの形成年代は,白亜紀末期の70~80Maであったと結論される。 (2)本研究課題による2010年度の成果では,近隣の引原コールドロンおよび二上山コールドロンについても,70Ma前後の年代値が得られた。また,兵庫県山崎・姫路地域のコールドロン群でも70~80Maの年代値が報告されている(Yamamoto,2003)。したがって,作東コールドロンも,岡山~兵庫県に広がる70~80Maのコールドロン群の一つであると判断される。 (3)これまでのデータは,中国地方中部~東部の白亜紀火山活動が,白亜紀最末期の70~80Maに起こったものであることを示している。中国地方中~西部に分布する90Ma前後の匹見・高田流紋岩類よりは新期だが,古第三紀まで上がることはないと,今のところ結論できる。 (4)中国地方の白亜紀火山活動は,100~90Maに中~酉部で大規模に起こり,80~70Maには活動場が中~東部に転移した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書でターゲットとした作東コールドロンの年代測定に成功した。Rb-Sr年代およびK-Ar年代ともに,誤差が少なく信頼度の高い値が得られた。その年代値は,白亜紀最末期というこれまでの地質調査にもとづいた予想値を裏付けるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
2010年度の本研究課題成果と合わせると,これまで時代未詳であった引原・作東・二上山の3つのコールドロンについて,その年代を高い信頼度で得ることができた。予定通り2012年度(最終年度)に,柵原地域のコールドロン年代を明らかにできれば,中国地方中~東部の白亜紀末火山活動のほぼ全貌が解明される。3年分の研究成果は,まとめて国際誌に投稿予定である。
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