2011 Fiscal Year Annual Research Report
音響機器・自律型水中環境観測ロボットによる潮汐卓越型海域の泥粒子堆積過程の解明
Project/Area Number |
22540480
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
秋元 和實 熊本大学, 沿岸域環境科学教育研究センター, 准教授 (70222536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七山 太 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20357685)
|
Keywords | 音響機器 / ロボット / 潮汐 / 泥粒子 / 堆積 |
Research Abstract |
沿岸域における泥粒子の堆積過程は,沈積後、浮泥(fluid mud)として波浪,潮汐流や重力流によって頻繁に再動し,最終的に泥層として定置することが分かってきている.しかし,泥の沈殿-拡散-堆積に密接に関係する泥粒子の形態・密度など物理的特性の変化には多くの未解明な事象が存在する。これらの問題を解決するために、我々は音響機器および自律型水中環境モニタリングロボットによる現地観測により、短時間に,高精度・高分解能で、かつ連続した泥粒子の挙動に関する情報を収集する. 水俣湾では,1977年から1990年にかけて,暫定除去基準値(水銀25ppm)以上の水銀を含有する泥質堆積物(約1.5×10^6m^3)が除去された.このドレッジ後に堆積した泥の状況を把握するために,0.1m^2の水深情報を基にした地形図を作成した.湾全域で取得されたサイドスキャンイメージを,同じフィルタリング処理の基で処理した.さらに,音響強度と底質とを関係づけるために,代表的な反射強度値が得られた地点で底質を採集して,物性試験値と比較した.この結果,0.3m^2の範囲から得られた音響強度の値に基づいて,モザイク画像が作成できた.さらに,地層探査機で得られた地質断面図からブロックダイヤグラムを作成し,正確に表層堆積物との関係づけをした.その結果,音響基盤を薄く堆積物が覆う場所が認められ,その場所をロボット観測したところ,泥が堆積していた. 昨年度,最大層厚6mを超える泥質堆積物が堆積していたことが明らかになった諫早湾湾口部(佐賀県藤津郡大浦沖)で,潮汐の流向・流速との関係を解析するために,定方位コア試料を採集した.しかしながら,現地でコアの最上部を観察したが,浮泥は認められなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロボットと観測者との通信において,最も重要な音響モデムの故障により,修理が必要となった.しかしながら,航法管制装置を含む水中ロボットの海外への持ち出しは,たとえ修理のためでも経済産業省の大臣決裁が必要と代理店からの連絡を受け,結果として修理に半年間を要した.このため,調査対象海域で最も環境が整った時に必要な調査ができなかった.また,この間に,ボトムトッラックの測定精度を上げるプログラムの修正も確認できず,来年度への繰り越し課題となった.
|
Strategy for Future Research Activity |
【泥粒子の移動・拡散-泥層の堆積過程と底層流との関係の解析】 秋季の出水後の濁度が最も変化する時に、地層探査機が発する高周波(100kHz)の水中における反射強度について,3次元分布を調査する.この分布と,水塊の密度分布との関係を明らかにする.さらに,高い反射強度の部分ので,採水して,粒子の成分を特定する.AUVに搭載したADCPによる流向・流速の解析に向けて,底層付近を潜航する時の音速度の計測方法を変更して,ボトムトラッキングの精度を上げ,船の移動に伴う誤差をキャンセルできる様にプログラムを変更する.さらに,搭載している濁度計で連続計測し,濁度の3次元分布も明らかにする.これにより,泥粒子の沈降速度,粒子の直径,形状のに関する特性を把握する.さらに,諌早湾の観測櫓で計測された過去の濁度変化を調査し,潮汐流の変動を解析する.
|
Research Products
(6 results)