2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本産古第三紀内湾性貝類化石群の時代的変遷に関する研究
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22540484
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
松原 尚志 兵庫県立人と自然の博物館, 主任研究員 (30311484)
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Keywords | 古生態学 / 分類学 / 古生物地理学 / 古第三紀 / 貝類 |
Research Abstract |
平成23年度は、北海道の古第三紀内湾性貝類化石群を主な対象として以下の調査・研究を行った。 (1)北海道釧路地域 浦幌層群舌辛層(中-上部始新統)を対象に野外調査を行い、貝類化石ブロック試料3点を採取した。 (2)北海道夕張および岩見沢地域 石狩層群若鍋層(中部始新統)を対象に野外調査を行い、貝類化石ブロック試料3点を採取した。 (3)佐賀県玄海地域 昨年度採取した資料をクリーニングした結果、追加資料が必要であることが明らかとなった佐賀県玄海地域の佐世保層群入野層(漸新世)の貝類化石ブロック試料2点を採取した。 採取した試料については前年度までに採取した試料と合わせて兵庫県立人と自然の博物館でクリーニングならびに分類学的検討を進めている。 これまでの研究の結果、(1)北海道の中-上部始新世内湾性貝類化石群に含まれるカキ類はOstreaイタボガキ属のみで、本州西部・九州の同時代のものに含まれるCrassostrea属は認められないこと、および(2)佐賀県玄海地域の佐世保層群入野層の貝類化石群はMeretrixハマグリ属を主体とし、Ruditapesアサリ属やCrassostreaマガキ属を伴うなど、属レベルで中新世以降の内湾性貝類化石群に類似した組成を有することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
九州産古第三紀貝類化石標本を含む母岩に非常に硬く、クリーニング作業が難航していること、および福島第1原子力発電所事故により、福島県常磐地域の調査が延期となったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
野外調査が未了となっている福島県常磐地域の上部始新統-下部漸新統石城層、および追加試料が必要であることが明らかとなった石狩層群舌辛層を対象に早期に野外調査を実施する。また、クリーニング作業については昨年度後半に導入したエアツールや超硬刃カッターを用いて速やかに完了させ、分類学的・古生態学的・古生物地理学的検討を進める。
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