2011 Fiscal Year Annual Research Report
微量一酸化窒素の安定同位体比測定による生成・消滅過程の解明
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22540497
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊田 栄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (30313357)
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Keywords | 一酸化窒素 / 安定同位体比 / 微量分析法 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は、硝化、脱窒などの微生物活動や燃焼過程などにより生成し、対流圏オゾン生成や窒素沈着に関わる重要な微量気体であるが、微生物による生成・放出過程には不明な点が多い。NOの窒素・酸素同位体比はこれらの各過程において起源物質の同位体比や反応の同位体効果を反映して特徴的な値をとることが予想され、反応経路の識別に有効な指標になると考えられる。本研究では、微生物起源の低濃度NOにも適用可能な、高精度の窒素・酸素同位体比測定法を開発し、種々の生成・消滅過程について環境試料、室内模擬実験試料の測定を通してその複雑な機構を明らかにすることを目的としている。 本年度はNOの標準試料の窒素・酸素同位体比を決定するとともに、測定法開発を前年度に引き続き行った。標準試料については、市販の高純度NOを精製した後、テスラ放電を利用してN_2とO_2に分解し、安定同位体比質量分析計にて窒素と酸素の同位体比を求めた。この試料を今後標準試料として用いる予定である。測定法については、種々のガス試料中のNOを濃縮するための前処理装置を作成し、まずN_2Oで予備実験を行った。NOの場合には低温濃縮に用いる吸着材を変更する必要があるので検討を行った。一方、NOの生成過程の一つである、バイオマス燃焼について草本、木本の複数の試料を用いて模擬実験を行い、得られたN_2Oの濃度、同位体比測定結果をもとにNOの生成・消滅過程を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は震災の影響でこれまで連続運転していた質量分析計などの分析機器を停止した期間があり、再起動後にさまざまなトラブルが発生した。そのため実験が順調に進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した方法を実際の環境試料に適用する場合、さまざまな妨害成分の影響が予想されるので、模擬試料などを用いて測定条件の最適化を行っていく予定である。
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[Journal Article] Characterization and production and consumption processes of N_2O emitted from temperate agricultural soils determined viaisotopomer ratio analysis2012
Author(s)
Toyoda, S., M.Yano, S.Nishimura, H.Akiyama, A.Hayakawa, K.Koba, S.Sudo, K.Yagi, A.Makabe, Y.Tobari, N.O.Ogawa, N.Ohkouchi, K.Yamada, N.Yoshida
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Journal Title
Global Biogeochem.Cycles
Volume: 25
Pages: GB2008:1-17
DOI
Peer Reviewed
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