2010 Fiscal Year Annual Research Report
大電力パルススパッタ放電の特性解明と成膜用金属イオン源への展開
Project/Area Number |
22540501
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
池畑 隆 茨城大学, 理工学研究科, 教授 (00159641)
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Keywords | プラズマ / スパッタリング / 薄膜形成 / グロー放電 / パルスパワー / 金属イオン |
Research Abstract |
【目標】(1)大電力パルススパッタ(HPPMS)実験装置および計測装置を整備し、(2)大電力スパッタ放電の基礎特性、放電形態変化を明確にする。さらに、(3)スパッタ収量とガス圧力、放電電流等との関係を調査する。 【実施内容】(1)既設の真空チャンバ及び排気装置、高電圧パルス発生器に,直線移動可能な円盤形マグネトロンスパッタ装置(直径1インチ、Cuターゲット)、高空間分解能多チャンネル分光システム、汚損対策付き静電プローブを組み合わせた実験装置を完成させた。 (2)直流スパッタ(DCMS)とHPPMSとの違いを明確にするため、放電電流密度を変化させ、電流電圧特性、発光像観察、発光スペクトルとイオン密度の空間分布測定を実施した。その結果、HPPMSでは電流密度とともに、正規グローから異常グローへと遷移し、一定の電力密度を超えるとアーク転移することがわかった。スパッタ粒子密度は異常グロー領域で最大となり、ここがスパッタの最適条件であることがわかった。マグネトロンに特徴的なリング状発光が観測され、その幅が電流密度の増加とともに拡大し、やがで円盤全体まで広がった。正規グローでは電流密度は一定に保たれ,電流とともに放電面積が変化することが知られており、このモデルと矛盾しない。アーク遷移すると放電電圧が1000Vから70-80Vに急降下し、Cuのスパッタ収率が激減する。このとき、発光にはアルゴン原子のみが寄与するため、放電の色が緑からピンクに変化することが見て取れた。 (3)Cuスパッタ膜をSi基板上に形成し,マスキング法とレーザー顕微鏡を併用して、Cu膜の堆積速度(スパッタ蒸気量に比例する)、表面形状と放電電力、アルゴンガス圧力との関係を調べた。堆積速度は概ね電力に比例し、ガス圧に反比例することがわかった。 【成果】次年度の成膜実験に資する放電特性、スパッタ粒子生成などの基礎データがほぼ計画通りに取得できた。
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Research Products
(3 results)